最弱ゲーマーの俺が プロゲーマーな彼女と 最強プロゲーマーを目指します!!

第1話紫髪の少女

エレクトロニック・スポーツ通称ーー e Sport。


 それはゲームのスポーツだ。


 ゲームで相手と対戦し、互いの腕前を競い合う競技で、今やオリンピックの新競技にもなるのではないか?とも言われている新しいスポーツだ。



 ***


 2035年4月7日。


 「くそっ!!また負けたぁあああ」


 (こんなの無理ゲーだろ…。)


 俺は負けた悔しさからゲームをログアウトし、頭からゲーム機を外す。


 「明かに、俺の方が先に懐に入ってた筈なのに負けた……」


 荒れた荒野で俺は大きな岩陰に隠れていたプレイヤーを撃ち抜き駆け寄ると、そこには手榴弾が置かれていて相手のプレイヤーは、その場から居なくなってて、俺はそのまま手榴弾にやられた。


 「はぁ……もっと練習しないとな……」


 (しかし、このプレイヤー何者なんだよ。)


 隣に置いてあるコーヒーを飲みながら先程の戦いをPCに保存し、観直す。


 画面の中には俺をボコボコにした、紫色の髪をした、サブマシンガンのVz 61を握る少女のキャラが映っている。


 「プレイヤーネーム……RENA…。

次は必ず倒すからな!! 覚えておくんだなッ!!」


 そう宣言して、俺はPCをシャットダウンして急いで、制服を羽織り靴を履き扉を開けて外に出る。


 「さて、今日から俺の青春の始まりだ」


  ***


 俺の名前は|近藤 和樹こんどう かずき今年からeスポーツに力を入れていて寮も完備されている、養成校に入る高校生の一年生だ。


趣味はゲームとアニメ鑑賞で彼女は……出来たことなどない。


 俺が通う高校は今、世界で流行っているe sportsゲーム、バレット・レイドっていうゲームに力を入れている。またBRDとも言い、世界中で大きな大会が開かれる程の大人気ゲームであり、PvPで撃ち合ったり仲間とレイドを組んで戦えるアクションシューティングゲームだ。


 「よし、忘れ物も服装も大丈夫だな」


 スマホの画面を見て何も来ていないことを確認して俺は、家から出る。


 通学路はそこら中で桜の花びらが舞っていて、新学期に向けて学生達が道を歩いている。



 ちなみに、俺が今年から行く高校はesport専門の高校で、毎日何時間もゲームに特化した授業を行う、プロゲーマー養成校だ。


 そして俺が学ぶ学科は対人ゲーム科なんだが、主に銃や格闘などの対戦ゲームをメインに授業をする学科になる。


 「夢のゲーム生活を実現させてやるぜ!!」


   ***


 学校に着き自分のクラスを見つけ、

深呼吸をして教室に入る。


 ガララッ


 大きな横開きのドアを開けて教室に入ると

他の同級生達からめちゃくちゃ殺気のオーラに包まれ俺を睨んでくる。


 こえぇええよ!! 何?! 俺何かしましたか?!


 同級生達から何故か謎のメンチビームを喰らいつつ、俺は静かに急ぎながら、自分の席を見つける。


 「貴方が私の隣なのね。先に言っとくけど、私の邪魔だけはしないでね」


 俺の席の隣に座っていた紫色の髪をした日本人ではなさそうな甘いシャンプーの香りがする少女がツンツンしながら言ってきた。


 「これが、世に言うツンデレなのか……」


 「なんか言った?」


 「いや、なんでもない」


 「あっそ」


 二次元キャラに言われるのと違って、現実で女性にこうも冷たくされると普通に傷つくな……。


 「俺は近藤和樹こんどうかずきだ。 宜しくな……」


 「アンタに宜しくされる事も何もしていないんだけど?」


 「これはただの挨拶だよ」


 何この子……元ヤンですか?怖いんですけど!!コミュニケーションが取れませんッ!!


 「そう……」


 「貴方、呑気に教室に入ってきて、この学校の仕組みを分かってるの?」


 「仕組み??日本のトッププレイヤーを育てる為の学校なんじゃないのか??」


 「確かにそうよ。ただ、授業全てがゲーム関連の高校なんてないでしょ?」


 確かに普通の高校とかなら、現代文や数学とかに混じって、専門教科が入ってるのが普通だが、この学校は全ての授業がゲームで唯一の授業といえば、英語くらいしかない。


 眉を八の字にして俺が考え始めると、少女はため息を吐いた。


「はぁ……」


 「何が言いたいんだよ」


 少女は呆れた感じで少し低いトーンで俺に言った。


 「負けたらこの学園から退学よ」 


 それを聞いて俺の楽しい青春のハートが割れた。


 「負けたら退学って…… どう言う事だよ」


 俺が慌てて聞くと少女はまた溜息をし、こちらを睨んできた。


 「そのままの意味よバカなの??」


 こいつ……初対面で人のことバカとか言ってきやがったぞ。


 「この学校に入った者には学校から500ポイント貰えるの」


 少女はポケットから学生手帳の様なデバイスを取り出し、俺に開いて見せて来た。


 その画面には右側に少女の写真と、左側には500Pと表記されている。


 「貴方も学生手帳を貰ってるなら、私と同じ事が表示されているはずよ」


 「ああ、確か入学前に家に届いてたな」

 

 少女の言う通りに俺も学生手帳を開くと、同じく500Pと表示されていた。


「なんなんだ?これは」


 「進級するには勝利ポイントが15000P必要なのよ」

 

 「い、1万5000?! だと?!!」


 「そうよ。それを来年の3月まで守備しないといけないのよ」


 無茶苦茶過ぎるだろ…… 負けてポイントがゼロになったら退学とか。


 「まぁ、アンタみたいな弱そうな奴すぐに退学確定だろうけど」


 少女の言い方に腹が立ち俺は言い返す。


 「なら、お前は退学しないって言うのかよ」  

 

 「そうね、貴方よりはマシかしらね」


 紫色のツインテールをなびかせ、自信満々に俺に言い、鞄からヘッドギアを取り出し、机のパソコンに繋ぐ。


 ヘッドギアってのは自分の身体は現実世界にあるが、自身の意識などを仮想世界に送るゲーム機だ。VR機とも言われるゲーム機だ。


 「何する気だよ……」


 「貴方もヘッドギア出して私と戦いなさい」


 「今回は練習と言う事で特別にポイントは取らないであげるわ」

 

 「なんで、そんなにも上から目線なんだよ……わかったよ」


 そう言って俺もヘッドギアを出し、PCを起動させる。


 「ゲームはBRDで対戦形式はどちらかが

戦死で良いわよね?」


 「ああ、それでいいぜ」


 お互いのアカウントでゲームにログインし、自分のアバターで対戦広場に向かうとーー


 ガタッ


 俺はあまりの驚きで机から立ち上がってしまい、身体中から汗とドーパミンが溢れて来る感じがした。


 「嘘だろ……」


 対戦広場に居た少女のアバターの容姿、名前、今日の朝、家から出る前にBRDをした時に俺をボコボコにした奴……。


 「紫色の髪の毛……プレイヤーネーム…レナ」


 「嘘だろ…」


 To be continued……

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