虹と黒の共鳴

クロフク

プロローグ

かつてこの島は、奇跡で満ち溢れていた。

サンドスターに触れた動物はその姿を人間の少女へと変え、アニマルガールとなった。

彼女らはやがてフレンズと呼ばれ、人間と共にジャパリパークを築いた。

人間が去ったのちも、彼女らはその楽園を崩すことなく暮らしていった。

新しい遊びが見つかれば心から喜び合い、思う存分それらを楽しみ尽くした。

新しい危機が迫りくれば心から団結し、一丸となってそれらを退けた。

新しいフレンズが生まれれば心から祝福し、パークの新たな一員として暖かく迎え入れた。

利害得失、弱肉強食から解放されたこの島は、まさしく「楽園」であった。


かつてこの島を、嫌っている者がいた。

野生の本能を理想とする彼にとってこの島は、まさしく「虚構」であった。

己の理想に執り憑かれた彼はこの島の唯一の嫌われ者に食われ、抜け殻となった。

中身を取り込んだ嫌われ者は黒セルリアンと呼ばれ、ジャパリパークを脅かした。

人間が去ったのち、嫌われ者は自らが取り込んだ理想を、自分自身のものとした。

やがてそれはアニマルガールの姿を模し、その理想を成し遂げんとした。

フレンズ同士の団結心を利用し、本来の姿に立ち返らせる計画は成功したかに思えた。

だがその計画は、自分と瓜二つな一人の少女と、彼女の最愛の親友によって打ち砕かれた。

「楽園」は誰一人失うことなく、本来あるべき姿を取り戻した。



そして、


その全ての物語を紡いできたこの島は、


今まさに滅びを迎えんとしていた。







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