あまり頭がよくない文系の本好きで、何が悪い!!
猫のまんま
第1話、部活存続の危機!?!?
高校女子2年の私が 、高々に声を張った。
「いいかい! 後輩くん! 私たちは、文化祭までに何らかアクションを起こさないといけない! それは、何故だかわかるかい!?」
私の話を聞いているのか、聞いていないのかわからない後輩が、黙々とアニメ化と書かれている帯のついた本を読んでいる。
「このままだと、この文芸部がなくなるからだよ! わかるかい!?」
もくもく、もくもく。
「今私たちは、部活動として目にわかる行動をしていないからだよ! 部員の少なさは、何とか先生たちにはマイナーな部活なんでぇ……で、誤魔化せているけど。活動報告に関しては、先生たちに何も言えないのが現状だ! わかるかい!?」
後輩は、本を1ページめくった。
「わ、か、る、か、い!!」
この私の大声には、さすがの後輩もこちらを見た。
「え……あ、はい。すいませんが、もう一度最初から言ってもらえます? 音楽聞いてて、聞こえてなかったです」
後輩は、イヤホンを外した。
「なんでだよ! 聞いててよ! 私が、大事な話してるだしさ。後輩くんもこの部活なくなったら嫌でしょ?」
「……いや、べつに。ほかにも、文科系の部活ありますし大丈夫です」
なんだと、この薄情ものっ!
「……ほらさ、こんないい先輩にも会えなくなるんだよ? 寂しくないの?」
「とりあえず先輩、鏡そこにあるんで見てもらえますか?」
「え、なに?」
私は、近くの鏡を覗き込んだ。
「その鏡を見て、もう一度さっきのセリフを言ってみて下さい。言えるものなら」
私は、鏡に映る自分の姿を見て。そっと、鏡を手で隠した。
「ひ、ひどい! 後輩くん! 私がブスって言いたいだねっ!」
「ブスとは、言ってません。ただ、いい先輩だったか見つめ直せって言ってるです」
「……それって、ブスって言われるよりひどくないかな?」
私の後輩は、私に意地悪だ。いつも私をバカにしてくる。
「文芸部の活動って何をするんですか? そもそも、僕は知らないですけど」
「ちゃんと聞いてるじゃん……えっとねー、文芸部が何をする部活かというと、小説とか俳句、短歌、詩を書くこと部活のことだよ?」
「先輩、小説とか書くんですか?」
「書かないよ~ムリムリ。私は、読む専門」
「なら、俳句とか短歌は?」
「私が、そんな古風なことできるように見える?」
「……では、詩は?」
「ロマンチストではあるよ?」
私のその言葉を聞いて、後輩は本を再び読み始めた。
「来年は僕、美術部に入りますね。幽霊部員とか、オーケーらしいで」
「え、え! なんでなんで! どうしてどうして!?」
後輩は、また本のページをめくりながら言った。……なんて薄情なやつなんだ。
「どう考えても、この文芸部は来年にはなくなりそうなんで」
「そんな冷たいこと言わないでよ~私と方法一緒に考えて~」
そう言って、私が後輩にすり寄ると後輩は本を閉じてカバンへなおした。
「お疲れ様です。片付けの時ぐらいは、手伝うんで呼んで下さい」
「今から、どこ行くの?」
「美術部の下見して、帰ってアニメ見ます。今日、見たいアニメがあるんで」
「ええーーー!! 先輩置いて帰るのーーー!?」
後輩は、何の躊躇いもなくカバンを背負って部室から出ようとした。
「マジで、帰るとは許すまじ! てんちゅー!」
私は、そんな後輩の姿にムカついて後ろからパンチをしようとする。
「じゃ、お疲れ様でしたー」
バタン!
「うげっ!」
私は、後輩にてんちゅーするどころか……後輩の閉めたドアに、ちゅーをしてしまった。
おかげで、唇がイタイ……。
「いいもん! いいもん! あんな後輩いなくても、私一人でどうにかするもんだ! ふん!」
あんな問答無用で、私を置いていく後輩のことなんて、知ったことかっ! ふん!
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