第8話 祭りでホテルが見つからない
時刻はもう5時である。
今までのんきに構えていたが、ここは本腰入れて宿を探さないと。
そう思いながら、駅に向かって歩きながら電話をかけつつキャンセル空きがないか探していく作戦を実行した。
結果15件中15件からお断りされた。
平たく言えば全滅。武士言葉で言えば全滅でござる。
くだらない言葉遊びで現実逃避したくなるほどの大惨敗である。
この事態の元凶は「さっきネットカフェ見つけたからそこに泊まればいいよー」などとお気楽に構えている。ぶっとばされたいのだろうか?
いくらネットカフェがあっても、空いてるとは限らないし、空いててもネカフェは眠れる場所じゃない。
一度大分で大雪が降って渋滞が起こりネカフェに泊まった事があるが、マッサージチェアみたいなボックス席では窮屈で眠れないし、天井が空いてたのでそこから盗難のおそれもある事に気がついた。
あわててカラオケができて、こたつもあるファミリータイプの個室に変えてもらったが、店内で音楽を流しているお店だったのでうるさいし暖房も最低限だから寒くて眠れない。
こたつから布団だけはがしたてみたが床マットがないので寒い、というか冷たくて結局眠れなかった。
このように宿泊を目的としてないネカフェに泊まるというのは「眠れないけど寒さはしのげる」程度の場所なのである。
布団とマット、他人が進入しずらい個室か金庫。
この3つが揃ってないと人間は眠れないのである。
「えー、それじゃ私たちどうしたらいいの?」と朝美ちゃんがうろたえる。今更かい。
さてどうしたものだろう。
とりあえずお店が閉まる前に寄っとこうと思った、らしん○んとアニ○イトを出て私は考えた。両手に戦利品をたくさん抱えて。
いや、らしん○んというアニメグッズ販売店は大分には無いので、この機会を逃したら絶対後悔するのは必然だ。
最悪野宿する事になっても、これは譲れない。
漫画好きにとって格安の中古マンガとか、珍しい同人誌というのは全てを捨てて捜索する価値があるのだ(朝美 注;病人の言う事なので真に受けないでください)
両手には戦利品。遠くではお祭りの太鼓がうるさく響く中、私たちは宿を探してさまようのだった。
「みつからないねー」
「流石のグー○ル先生も息きしてないっぽいね」
本当に、どこか泊まれるホテルはないものか…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます