あとがき

「裸足の人魚」は、これで完結です。書きながら自分自身のボキャ貧ぶりを痛感したりもしたし、いっぺんアップしたものを書き直したりしたことも何度もありましたが、なんとかここまでこぎつけることができました。


この「裸足の人魚」のもとになる話を書いたのは、だいぶ昔、2003年ごろのことです。そのころ「TSF」という言葉は今ほどメジャーではありませんでしたが、そのころTSものの投稿小説を集めた「少年少女文庫」というサイトを見て、それに触発されて書いてみたのがはじまりです。


これからだいぶ私も歳を食いましたが、書いてから十年以上がたって社会もだいぶ変化し、「LGBT」と呼ばれる人たちの存在もクローズアップされるようになったのを機に、話の内容を大幅に書き直してみました。しかしどのような作品も「時代遅れ」になる運命からは免れないもので、このへんは難しいところです。最近は制服を男女でスカートもズボンも選べるようにしている地域が増えているといいますが、そうなるとこの話の「男子は学ラン、女子はセーラー服」という前提自体が成り立たなくなってしまうし。


そういうわけで、2020年の新年を迎えたのを機に、自分のやりたいことをやってみようと執筆にとりかかりましたが、その直後からコロナウイルスに世の中が振り回されるようになりました。しかしこれで「ステイホーム」と言われるようになって、執筆の時間が取れるようになったことは皮肉ですね。さらにこのあとがきを書いている途中は九州を中心に各地で集中豪雨による被害が出ており、早く世の中が平和になってほしいと思いながらキーを叩いております。


この話に登場するキャラの中で、個人的に気に入っているキャラは綾乃姉ちゃんです。多少性格に強引なところがありますが、そこがまた魅力というわけで。あとこの話は舞台を神戸に設定したので、関西弁で話すキャラも結構登場しますが、その点読みづらいと感じた人もいるかもしれないとも気になっています。この点についてはいかがでしょうか。


あと、私の書いたものを小説投稿サイトの他の作品と読み比べてみると、「文体がかたくて古臭い」ということは自分でも感じます。しかしこれが自分自身の文章のスタイルなのでなかなか変えるのが難しく、むしろ下手に他人を真似ることもないと思っていますが。「憔悴」「安堵の色を浮かべる」「脳裏に蘇る」といった表現は、いまどきの高校生くらいには少し難しいかもしれませんが、我々も本を読むことを通してこういった言葉を覚えていったわけだし。


さて、この話の続きを書いてみたいという希望もありますが、私のような者にいまどきの女子高生がどんなことを考え、どんな暮らしをしているかなどわかるはずがないから、少々難しいかと思います。これについては、もう少し考える時間をいただきたいと思います。


ともあれ、このつたない話にお付き合いくださりありがとうございます。意見・感想等聞かせて下されば幸いです。

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