第66話

三人で病院に行くと、面会時間までにはまだ少し時間があった。


「あーあ、紫苑に早く会いたいぜ」


「まあ、あせるな。でもそんなに会いたいか?」


「たりまえだ。俺のせいでケガしたんだから。ちゃんと謝っておかないと気が落ちつかねえ」


私は笑った。


「なに笑ってんだよ」


「いや、いい心がけだなと思っただけだ」


そのうちに面会時間になった。


三人で入ると紫苑がベッドにいた。


魁斗が小走りで駆け寄る。


「しおーーん、悪かった。俺が悪かった」


「そうそうあんたが悪い。あんたのせいであたいがケガしたんだから。これで認めるでしょ。私こと魁斗はバッカでーーす、ってね」


「俺はバカじゃねえぜ」


「バカじゃねえなんて言うやつは、本気のバカなのよ」


「なんだと」


「あん」

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