第50話

魁斗が前に出る。


私と青柳はそのまま距離をとったが、紫苑が魁斗のすぐ後ろについた。


魁斗がそれに気付く。


「おい、近くで見たいっても、ひっつきすぎじゃねえのか」


「大丈夫。絶対に邪魔はしないから、好き勝手動いてね」


「まったく、なに考えてんだか」


魁斗と紫苑がさらに近づくと、大コウモリが動いた。


魁斗に突っこんで来たのだ。


魁斗は戦鎚を構えると、飛んできた大コウモリの眉間めがけて振り下ろした。


バコッ


ちょっと嫌悪感を覚える音とともに、大コウモリが地面に落ちた。


見れば額が割れて、大量の血が流れ出てきている。


「おいおい、こいつも弱すぎだぜ。こんなんじゃ準備運動にすらならないぜ」


「ここはどんなあやかしが出てくるのかわからないが、奥に行けば邪気が強くなるので、より強いあやかしが出てくるはずだ」


「ほんとかい。期待しているぜ」


期待しているときたか。

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