第46話

すると風穴の中が明るくなった。


「電気が点くのか」


「真っ暗な中じゃ、あやかしとやりあえんだろう」


「そりゃそうだ」


「明かりが点いたから、中のあやかしが騒ぎ出しますよ」


神主はそう言うと一礼をし、外に出て扉を閉めた。


そして南京錠を掛ける音がした。


「あいつ、鍵をかけたぞ」


「念のためだ。終わったら開けてくれる。それより行くぞ。魁斗が先頭だ」


「はいはい。さあて、どんな化け物がでてくるかな。それにしてもここ、ほんとにトンネルみたいだな」


私は自身の最終試練も含めてここに入るのは三回目だが、形状としてはほぼトンネルだ。


ただむやみに曲がりくねっていえ、先が見通せない。


わざとそう作ったのだろう。


おそらく外から侵入されにくいようにするためだ。


魁斗もわかっているようで、曲がり角に来る度に一応警戒している様子がその後姿から見てとれた。


そして何回目かの角を曲がったところで魁斗が足を止めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る