第40話


「一応はな」


「そうか。そりゃよかった」


「なにがだ?」


「なんでもないよ。おい、そこの二人。今から出発だ。私の車で行くから、二人とも後部座席に乗ってくれ」


「えっ、こんなバカの隣に乗るの? か弱い乙女のあたいに、それは酷というものだわ」


「誰がバカだってえ。あとか弱い乙女って、そんなやつどこにいる」


「バカはあんたで、か弱い乙女はあたいよ。他にいないじゃない。そんなこともわかんないの」


「なんだと、こらあ」


「あん」


「ああん」


「よさないか、二人とも。さっさと車に乗るんだ」 


私がそう言うと、二人とも相手を睨みつけながら車に乗った。


紫苑はドアにひっつくように右端に座り、魁斗はドアにひっつくように左端に座った。


真ん中がぽっかりと開いている。


私と青柳も車に乗り込んだ。


車が動き出すと魁斗が言った。

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