第22話

もう一生あやかし斬りはできない。


仲のいい妹がいると聞いていたが、それが紫苑なのだ。


想像はしていたが、会ってみてはっきりとわかった。


紫苑はあやかしを憎んでいるのだ。


組織に入った理由もそれだろう。


憎む心は時に心を曇らせ、よくない方へと導くことがある。


青柳はその心配をしているのだ。


私は言った。


「心配ないだろう」


「心配ない。どうして?」


「紫苑はあのバカに似ている」


「あのバカ? 魁斗のことか」


「そうだ。ケンカ好き。闘争心の塊で負けず嫌い。そして相手を叩きのめすことに至高の喜びを感じる。最後の至高の喜びを感じるという点においては、ひょっとすると魁斗よりも紫苑のほうが上かもしれない。わかりやすく言えばサディスト。うーん、サディストとは少し違うかもしれないが、当らずとも遠からずといったところか。あやかしに対する憎しみのみであやかし斬りを続ければ、その憎しみの心に本人が押しつぶされてしまうこともあるだろうが、それ以前にあやかしを叩きのめすこと自体が好きでたまらないとすれば、その心配は無用だ」


「そうか。魁斗と同じ、戦うことが好きでしかたがないタイプというわけか」


「戦って相手を叩きのめすことがな。とにかくあやかし斬りに必要な闘争心と言う点においては、足らないどころか有り余るほどあるな」


「そうか」

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