第22話
もう一生あやかし斬りはできない。
仲のいい妹がいると聞いていたが、それが紫苑なのだ。
想像はしていたが、会ってみてはっきりとわかった。
紫苑はあやかしを憎んでいるのだ。
組織に入った理由もそれだろう。
憎む心は時に心を曇らせ、よくない方へと導くことがある。
青柳はその心配をしているのだ。
私は言った。
「心配ないだろう」
「心配ない。どうして?」
「紫苑はあのバカに似ている」
「あのバカ? 魁斗のことか」
「そうだ。ケンカ好き。闘争心の塊で負けず嫌い。そして相手を叩きのめすことに至高の喜びを感じる。最後の至高の喜びを感じるという点においては、ひょっとすると魁斗よりも紫苑のほうが上かもしれない。わかりやすく言えばサディスト。うーん、サディストとは少し違うかもしれないが、当らずとも遠からずといったところか。あやかしに対する憎しみのみであやかし斬りを続ければ、その憎しみの心に本人が押しつぶされてしまうこともあるだろうが、それ以前にあやかしを叩きのめすこと自体が好きでたまらないとすれば、その心配は無用だ」
「そうか。魁斗と同じ、戦うことが好きでしかたがないタイプというわけか」
「戦って相手を叩きのめすことがな。とにかくあやかし斬りに必要な闘争心と言う点においては、足らないどころか有り余るほどあるな」
「そうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます