第19話

「えっ、もう帰るのか。愛想ないぜ」


私は返事をすることもなく、道場を出た。


車に乗り込むと、思った。


戦鎚も基礎を覚えるだけで常人なら少なくともニ、三年はかかるが、あいつならもっと早く覚えられるだろう。



一人でやれる仕事をこなしていると、青柳から連絡があった。


「会って欲しい人材がいる」


「またスカウトか?」


「いや、スカウトの必要はない。向こうからやって来たし、本人はやる気満々だ」


「向こうからやって来た? 一般人は我々のことを知らないはずだが。一般人ではないのか」


「一般人ではない。茜(あかね)の妹だ」


「茜……かあ」


「どうだ。会うか?」


「会う。それで青柳の見立てだと、どれほどの才があると思う?」


「姉以上だ」


姉以上。それは凄い。


「そうか、それなら是非会ってみたいな」

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