第7話

「そうだ」


「強くなれる。暴れられる。人に感謝される。お金がもらえる。どれも俺の大好きなものだぜ。そこってまるで、夢みたいなところじゃねえか」


「そうだ。参加してみるか。ただし多少の危険はともなうがな」


「危険? やばいやつとでもやりあうのか」


「そう。ちょっとやばいものとな。我々はあやかしと呼んでいる。わかりやすく言えば化け物だ」


「強くなれて、暴れるだけ暴れられて。しかもその相手がやばい化け物だなんて。そんなの正真正銘のパラダイスじゃないか」


男は本当に嬉しそうだ。


今は喜びに満ちあふれているのだろう。


化け物といった非日常的な単語に疑問を抱かないほどに。


私も今までに何人か見たことがある。


本物の戦闘狂だ。


強くなって強いやつとやりあうのが生きがい。


好きで好きでたまらないのだ。


最初に青柳からケンカ好きと聞いたとき、その欲求を満たしてやればいいと思ったが、そのとおりになった。


私は男に握手を求めた。


男がそれに応じたとき、私は言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る