理解し得ないところの
「死にたい」
今を思わせる顔ににやりと笑う口を浮かべてきみは言った。きみの言う願望は願望ではない。私は何も言わず、見えない先を見つめた。
時間は有限だと君を見るといつも強く思う。君を思うにはあまりにも時間がなさすぎる。不可能な領域があることは認め難いが、可能ではない領域があることを思い知らされる。人々がここまで発展したのは、人と人との「つなぎ」のおかげだ。しかしその「つなぎ」は人に理解されないとなりたたない。君はおそらくつながることはできるまい。たとえ君がこの全ての根源であっても今はまだつながらない。
「蝶々になりたい」そう言って君は死ぬほど努力した。
「ドアになりたい」そう言って君は屋内をひどく嫌った。
「生きたい」そう言って君は素手で一途に窓を割った。
本物のようで本物でない。死にたいようで死にたくはない。
揺らゆらゆれる中でふらふら立ち寄る。荒波に飲まれる空気が白い叫びを上げているのを下に見る。
ふわりと飛んで、音を亡くした。今もわからない、何もわからない。人間一人分の体重を受けていた橋が、反動で小さな息を吸った。
咲いていました。 すた @s_h_u_y_u
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