高校時代の友人 白血病を患う子のの母
三男の不登校が始まって数ヶ月後、高校時代の友人からメールがきた。
彼女とは自分の結婚式以来会った事がなかった。毎年やりとりしていた年賀状が今年は来ていなかったので"おかしいな"とは思ったが、春からは子どもたちの事で頭がいっぱいで、すっかり忘れていた矢先だった。
メールには年賀状が出せなかった詫びの言葉の後に、その理由が綴られていた。
7歳の長男が白血病を発症したと。昨年の秋に鼻血が止まらない事から始まり、今も入院中で現在の治療で効果がなければ、骨髄移植になるかもしれないと。
私は彼女からのメールを読んで、いてもたってもいられず、すぐに骨髄バンク登録に走り、帰ると電話でその報告をした。
私はなにかとストレスとなる事があると、まず喋りまくる。喋る事でストレスを発散するタイプだ。新婚当初には嬉しい事もケンカした事も全て、当時働いていた病院の同僚達に喋りまくっていた。だから不登校問題が始まった時も学校やスーパー、道端で仲の良いママ友に会おうものなら時間の許す限り子ども達のことを喋りまくっていた。
しかし、この時ばかりは自分の子どもの不登校問題を彼女に話すことは出来なかった。話せる筈もなかった。
彼女の子どもは生きるか死ぬかの問題を抱えているのだ。
電話で骨髄バンク登録の話しをすると彼女はお礼を言い、今は病状も安定していると話してくれた。その声はとても落ち着いていて力強く子どもの完治を信じているようだった。
私は白血病を患った友人の子どもと、ボランティアで知った重度の障害を背負った子ども達の事を知り、自分の子は生きている!それだけで充分ではないかと思えるようになったのである。
昨年、私は彼女と二十数年ぶりの再会をした。電車で2時間ほどの彼女の住む地域でカフェを2件梯子し、お互いに喋りまくった。
白血病の治療をしていた彼女の子どもは数年間の闘病を乗り越えて、今はめでたく元気に高校生活を送っている。
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