不登校の原因 三男の場合
三男の不登校の原因はわからない。
でも要因は色々あるような気がする。
学校に行けなくなった時、私も先生も学校で何かあったのだろうかと考えた。三男に聞くと最初は、新しいクラスメイトとのトラブルを理由に挙げた。しかし、その問題が解決しても学校には行けなかった。
私のせいかとも考えた。私のスキンシップ不足かと。三男が幼い時、私は2歳上の次男の発達を心配していた。三男が歩き始めた時を私は覚えていない。
最後に考えたのは東北沖地震の影響だった。そうなると、やはり私のせいな気がした。東北沖地震があったのは三男が不登校になる1カ月ほど前だった。私は津波の映像をひたすら見ていた。三男が、その映像を一緒に見ていて不安感が増したのかもしれないと思った。
4年生の時、不登校となった1つの確実な要因がわかった。それは彼自身にあった。
後に詳しく書こうと思うのだが、三男は学校に行く事、特に教室で授業を受ける事は難しかったが、スポーツ少年団や体育教室などが企画したキャンプには楽しく参加できた。それらのコーチや先生に学校での三男の状況を私が話すと必ず「…? え?いや、ホントですか?」と必ず驚かれた。
スポーツ少年団で野球を楽しむ三男と教室に入れずに青ざめて立ち尽くす三男。こういうギャップやアンバランスさが、どうしても理解できない私は市の少年センターという場所へ三男を連れて行った。スポーツ少年団に入った4年生の秋だった。
周りの発達障害をもつ子供を持つ人の話しでは、"この子はなんだか…?"と先生や周りの人が気がついて検査を勧められる事が多いようだが、我が家の三男は検査を勧められる事は一度もなかった。
どうしても納得できなかった私が「検査をしてください」と依頼した。
結果「一度、発達に関する専門の小児科を受診した方がいいですね。」と言われた。
検査結果の書かれたものを見せながら、少年センターの先生は私に説明をした。
ここでの検査でわかった三男の特性は
"全体のIQは高めだが、能力(得意な事と不得意な事)の差が激しく作業処理能力が低い"
"人の気持ちがわかりにくい"
という事だった。センターの先生は、能力に差があると自己肯定感が育ちにくくいし、"人の気持ちがわかりにくい"とコミュニケーションに困ることが多いと説明した。
いくつかの病院を比べて、知人に勧められた県立の子ども病院に予約をとった。数ヶ月の予約待ちの間に問診表が届き、生育歴などを記入して郵送。やっと外来を訪れたのは5年生になってからの4月の終わりだった。
そこでセンターとは別の検査をうけ、三男は初めて"広汎性発達障害"という診断をうけることができた。
三男が診断を受けて私は
「やっと、原因が分かった。」と思い、心からホッとした。
それにしても"人の気持ちがわかりにくい"というのはよく聞く発達障害の特性だが、三男の場合、それは極めてわかりずらいものだった。よくテレビや雑誌などでは「まっすぐ帰りなさい」と言われて「まっすぐ帰ったら壁にぶつかります」と本気で言い返すとか、比喩表現をそのまま受け止めてしまうような事があげられるが、三男の場合はそういった違和感を感じる発言はなかった。どちらかというと大人しい静かな子だったので。何か分からない事があっても黙っていたのかもしれない。
三男の発達障害…
「わかりにくいわ!」
といまさらながら思う。
発達障害について最近ではテレビや雑誌でも取り上げられ、世間でも周知される事が多くなってきた。
"みるからに…、""明らかに…"そういう人も多いが、三男のように、わかりにくい人も多いのだと思う。
病院の医師は言った。
「発達障害といっても普通に生活してる人も多いです。大事なのは本人が困っているかという事。困っているなら、どうしたら良いのかを考えて対処いくのが必要。この子は今、学校に行けない状態で困っています。ここでコミュニケーションを技術として習得していきましょう。」
三男はカウンセリングを受けることになった。
人とのコミュニケーションの技術を学ぶために。
さて三男の不登校の理由についてだが、この時の検査でわかったふたつの特性の為かというと、私はそれだけではないと思っている。これは要因の中の一部だろう。
6年生の頃、頑張って教室に入っていた頃、三男が言ったことがある。
「教室で授業を受けるとムズムズする」
これだと思う。
三男は作業処理能力が低いと先の検査結果にある。宿題のドリル、あのつまらない文章や計算問題をひたすら書いたり解いたりは、超苦手とするところだ。
そして思い出すのは自分が小学生の頃、やはりドリルをこなすのは苦痛で仕方なかったこと。それこそムズムズしてくるのだ。
スポーツ少年団の野球の練習やキャンプは平気で教室の授業はムズムズする。そんな三男の様子を見てきて私が思ったのは、
"限られたスペース"で"多人数"で""行動を制限される"という状況が苦手なのではないか?ということだ。
教室という限られたスペースにきっちりと並べられた机と椅子、そこにすわる40人前後の同年齢の子供。そして45分の授業。
その状況が、三男にとってはちょっとしたストレスなのではないだろうか。
私は、これが一番強い要因だと今は思っている。
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