第2話 かつての日常

目覚まし時計に設定されたベートーベン作曲「運命」がけたましい音量で鳴り響き、鹿島雄は寝室のベッドから飛び起きた。目覚まし時計に表示された時刻、AM6:01の点滅が目につくと、ベッドから立ち上がりキッチンへと向かった。朝ご飯の支度である。今日の朝ごはんはしゃけフレークを白ごはんに載せたものと味噌汁でいいか、などと俺は考えていると愛犬のシェリーも起きだし、朝ご飯をねだるように頭をすりすりと俺の足に寄せてきた。俺はすぐにキッチンの隣に設営されている食器棚からシェリー用の皿を取り出し、そこにドックフードを入れた。シェリーは嬉しそうに尻尾を振りながら餌を食べている。

「かわいい奴め」

そう呟き、自分のご飯を用意してテレビを点けるとニュースが流れていた。6:32と画面の左上に表示されており、のんびりとご飯を頬張りながらニュースを見ていると、スポーツ特集に変わった。スポーツにさほど興味も無かった俺はチャンネルを変えようとしたら、ある男の特集に変わった。


ー大和光輝ーー

NBAのあるチーム[ゴールデンステート・ウォリアーズ]に所属しており不動のせんたーとして君臨し、かつ俺が高校生の時の部活メイトだった。当時、強豪校のバスケ部に所属していた俺は、大和と同じレギュラーだった。本来なら2人でプロを目指すはずだったが、インターハイ予選決勝で俺は相手チームのエースのラフプレーにより手を肩より上に上げることができないほどの後遺症となる怪我を起こし敗退した。それ以降、スポーツには関わるようにせず、ジャーナリストとして生計を立てていた。大和とは高校の時以来、連絡を取っていない。

そんな思い出に耽っていると、時刻が6:48となり、慌ててご飯を口にかき込んで、仕事着に着替えて家を出た。腕時計の針は7時2分を指しており、エレベーターで地下の駐車場へと向かった。

梅雨入りを迎えているこの頃、謎の車上荒らしが増加しているというニュースを思い出し、自分はそんな被害に遭わないだろう、と考えていたら自分の車に1枚の紙きれがワイパーに挟まれていた。


「involved you」と記された紙切れがワイパーに挟まっていた6月の中旬から、人生は予想だにもしなかった方向へと舵を切った。

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OneJ @picky-73

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