偽教授獰悪杯 結果発表&寸評

ではさっそく寸評いきます。すんぴょろぴー。


善良なひとびとと子供たちだけの家のはなし/尾八原ジュージさま

https://kakuyomu.jp/works/16818093084036164580


ガチで怖い。概念としての悪であり、構造としての悪であり、そして人としての悪でもある。最初にこの構造を作ったやつがいるはずだけど、そいつはもう既に死んでいるのかもしれない。それでも悪の歯車は回り続けている。怖い。本作品、今回のお題に対する打ち返しとしてはほぼ完璧と言っていいでしょう。久しぶりにホラー作家尾八原ジュージの本領を見せつけられたような気がする。というかこれ実は(最近のきょうじゅにしては珍しく)締め切り前に書き始めていて、参加作品のうちでまだこれしか読んでいないんですが、これがグランプリ作品だということに今決めました。絶対とは言いませんけどよほどのことがない限りは覆らないでしょう。


良い告白へ/おくとりょうさま

https://kakuyomu.jp/works/16818093084218631563


なんだかさっぱり分かりませんでした。残念ながら、文芸作品のていをなしていないと評断せざるを得ません。



サルの王様/驢垂 葉榕さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093085391740871


ポル=ポトですね。半分くらい読むまで気付きませんでしたが、ほぼ完全にポル=ポトことサロット・サルの伝記だ。まあ……仕掛けにちょいとした面白さがあった、ということは認めましょう。でも、素直にポル=ポト伝、というかクメール・ルージュ史を書いた方が主題に対する回答としては誠実だろう、ということもやはり思いました。



エデンズ・ランゲージ/鍵崎佐吉さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093085044826472


このアイデアは1500文字スパンのショート・ショートSFにするのではなく、長編にしろとは言わないまでもせめて短編(私の個人的な定義では、3000~20000文字)の尺で消化するべきものだったと思う。アイデアは悪くないんですが、さすがに情報がぎゅうぎゅうに詰め込まれ過ぎで、話が分かりにくいです。



勧悪懲悪について/夢月七海さま

https://kakuyomu.jp/works/16818093085821554274


話の半分まではよくある復讐劇だなと思っていたんですが、まさかそこから専門の私刑執行人が爆誕する話だとは思わなかった。これ、「語り手である探偵こそが悪である」という物語構造が何よりも重要で、そこがきちっと締められていたのがとても良かったです。



ヨシダのこと。/梅緒連寸さま

https://kakuyomu.jp/user_events/16818093083997495857


綺麗な起承転結のある物語で、文章もすっきりしていて読みやすいし、よい小説だとは思うのですが。いかんせん「悪」という主題に対する答えとしてはやや弱いと言わざるを得ない。惜しい。むかし「同姓同名(異字は可)のキャラクターを二人登場させる」というお題をやったうろ覚えがあるんですが、それであれば結構いい線いったかも。



というわけで結果発表です。

どぅるるるるる(自前ドラムロール)

でーん


今回のグランプリはやはりこれ!

『善良なひとびとと子供たちだけの家のはなし』に決定です!

どんどんどんどんぱーふーぱーふー


今回はほかの賞とかはありません。

今月の偽教授杯、『偽教授堕天杯』もよろしく。

https://kakuyomu.jp/user_events/16818093085888948590

では~

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