偽教授劫火杯 結果発表&講評
前回(熊々杯)はやたら遅れてしまいましたが、今回は第六回偽物川と作業がかぶっておりますのでサクサクいきます。
というわけで、全作品の寸評からです。
碧色に燃ゆる村/2121さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330669255416118
これはSFだなと思いながら読んだわけですが確かにSFだった。村を焼くSF。確かに劫火に包まれてはいるんですが、医者としてこの行為が正しいのかというと微妙な気がする。
豚肉を焼くように、芸能人を燃やせ!/広河長綺さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330666205315374
シュールなSF。予想しない方向に話が転がっていくんだけどちょっと唐突すぎるきらいはある。燃えてはいるんですが、なんか全体的にすっきりしないところがあったかなーという印象。
火事を見たか/夢月七海さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330668970319657
パイロマニアの話だなというのはすぐ分かったんだけど、語り手が火を付けた張本人なんじゃなくて、なんかパイロマニアと意気投合している別の既知外の方の話なんですね。グロテスクさがよく演出できていたと思います。
燐寸売の少女、炎上後竜を燃やしてまた燃ゆる事/尾八原ジュージさま
https://kakuyomu.jp/works/16817330669068739440
童話と落語のパロディ。今となっては貴重なジュージさんのトンチキ小説ですので、もうそれだけで価値はある。それはここがかちかち山だから。
ファイアマン/藤田桜さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330668010206234
設定は面白いんだけど、それとBLであることがうまく調和していないというか、要素として喧嘩している感じがちょっとした。
憧憬/杠明さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330662782436132
ぜったいこの語り手パイロマニアだし、ぜったい燃やすだろうなと思ったけど案の定。もはや一種の予定調和的な物語構造に美がありました。
おもいはぜ/ナナシマイさま
https://kakuyomu.jp/works/16817330668468296936
頭一つ抜けた印象のある作品。「“代燃者”イーイ」、というコンセプトがかなりよくできていて、話に引き込まれる。あとはその設定に耐えられる物語構造があるかどうかなんだけど、掌編ながら綺麗にまとまっていたと思う。同じ世界観で紡がれた別の作品を読みたい、と思わされるところがありますね。
エルフの森に火を放て/鍵崎佐吉さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330668120785093
作品の仕掛けそのものはちょっと面白いのだけど、物語の中核に「熱」がないのが今回のテーマに対する回答としては不足感があったかな。
燃えろよ、燃えろ/雨宮 徹さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330668288605758
嫌な気分にさせられる作品でした。「燃やす」というテーマに照らすと微妙ですが、厭らしさという意味では厭らしく書けている。
燃える/雲隠凶之進さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330667801619753
メルヘンというか、ほぼ神話。ひとつ言いたいのは、こういうものを書くときにコメディ要素を混ぜるのはあんまりおすすめしないです。
妬け、そして燃えよ/三寿木 春さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330667940820415
正直、設定過剰だと思う。
水に漬けると燃え上がるペン/三月さま
https://kakuyomu.jp/works/16817330667726082202
タイトルからはちょっと期待感があったんですが、読んでみたけどなんだかよく分からなかった。
燃える夜/world is snowさま
https://kakuyomu.jp/works/16817330667755206161
んー……とりあえず、本文の中に作者の声を書き込むのはやめた方がいいと思います。全体的に未熟さが目立ちました。
寸評は以上です。
では今回のグランプリですが……
どぅるるるる(自前ドラムロール)
でーん
偽教授劫火杯、グランプリに輝いた作品は!
ナナシマイさま『おもいはぜ』
https://kakuyomu.jp/works/16817330668468296936
に決定です!
どんどんどんどんぱーふーぱーふー
今回はどの作品もだいたい「燃やす」というのはやってくだっていたんですが、「何を燃やすのか」「燃やすということにどういう意味があるのか」というこだわりの点において、やはりこの作品が一段階高みにあったと判断しました。
というわけで、現在やっている「第六回偽物川小説大賞」↓もよろしくお願いします。次の偽教授杯はそれが終わってからです。んじゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます