結果発表

 今回も先に寸評から書いていきます。作者名は敬称略です。


ワンナイト・ウィッチクラフト/ぎざぎざ

https://kakuyomu.jp/works/16817330647915461333


非常にスタンダードにお題を解いた現代ファンタジー。少年漫画誌に載ってる読み切りの少年漫画のような趣がありました。


僕は海へ行く/カニカマもどき

https://kakuyomu.jp/works/16817330647965333147


さっぱりとした掌編の青春ものですね。お姉さんのバックグラウンドが何も分からないままなのが逆にいい。


ビーアンビシャス/三寿木 春

https://kakuyomu.jp/works/16817330647914075110


んぐ。これは変化球ですね。ニュアンス的には児童小説の趣。それなりに綺麗にまとまった掌編だとは思います。ただ、一つ言っておきますが、良い話、とかいうのは自分で言うべきことではないです。


空の青さを知る頃には/野村ロマネス子

https://kakuyomu.jp/works/16817330648087418833


調べてみたんだけど、「井の中の蛙大海を知らず」は荘子で、その続きと称されるものは20世紀の日本の陶芸家が(勝手に)付け足したものなのね。一捻り効いていて技巧的に上手い作品なんだけど、この企画で求めていた「うまさ」とはちょっと違ったかなとは思いました。


虚構を泳ぐ舟/紫陽凛

https://kakuyomu.jp/works/16817330648140075305


ランク違いのレベルの高さを感じる。この作品を読んで初めて「そもそも少年呼びヒロインはなぜ少年を少年と呼ぶのか」ということを考えるのだけど、結局つまりそれは彼女にとってその少年が無色透明の救済だからじゃないのかな……なんて。


若葉オン・ユア・マークス/ミナトマチ

https://kakuyomu.jp/works/16817330648136943959


女の方を主体に描いた作品が来るのは地味に予想外だった。青春ものですね。主題に対する回答として高評価かというとそれはないんだけど嫌いな雰囲気ではなかったです。


ちょっとした魔法を見せてあげる/尾八原ジュージ

https://kakuyomu.jp/works/16817330648116215671


いかにも地に足の付いた、しっとりした雰囲気の作品でした。爆発するんだけど、しっとりしていた。


ムジカ・ジャーマンスープレックス/月見 夕

https://kakuyomu.jp/works/16817330648453165343


やはり暴力。暴力はすべてを解決する。面白いんだけどお題からはちょっとズレてる感じはしたかな。


タンデムライド・ドラゴンスレイヤー/南沼

https://kakuyomu.jp/works/16817330648902672132


今回の最長、約3万字の中編。なんだけど、これ短いです。この世界観とプロットなら、長編にする価値があると思う。もっと続きを読みたい。少年呼びヒロインとしての強さはともかく、野生派マッシヴヒロインがいい味を出していた。


少年時代/尾八原ジュージ

https://kakuyomu.jp/works/16817330648954426052


いかにも趣味に走った感のある掌編。まあこれはこれで。


Call me a boy/ムラサキハルカ

https://kakuyomu.jp/works/16817330649051436094


うーん。実にドロっとしたテーマの話だった。二人の甘ったるい会話そのものが毒素を含んだハチミツのよう。


Halloween Pretender/橘 紀里

https://kakuyomu.jp/works/16817330648902271574


掌編ですがちょっと全体に駆け足な感じがある。もうちょっと字数を割いて設定説明とかしたほうがよかった印象。



 さて、というわけで寸評は以上。結果発表と参ります。


 どぅるるるる(自前ドラムロール)

 でーん


 偽教授少年杯、グランプリは!


 紫陽凛さん『虚構を泳ぐ舟』に決定です!

https://kakuyomu.jp/works/16817330648140075305


 ヒロインの持つ黒と白と透明の入り混じったような奥深い人物像と、少年呼びに込められたニュアンスの深みにしてやられました。堂々の受賞です。


 今回は以上です。では、みなさまありがとうございました。今やっている偽教授神饌杯もよろしく。ではまた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る