第20話 王様の命令は絶対
心外だぞって風にどすどすと歩いていき、生徒会室にある大きな黒革張りのソファに腰かけている修斗の隣にどすんと座った。
修斗は向かい合うように膝をくっつけて座り直すと俺の両手を取る。
「ナギ………2つ目の命令を言うぞ。」
うわっ、なに?こんな事されたことなんかないから、ドキドキする。
見上げると修斗の顔は怖いくらい真剣な顔をして、凄く力の入った声で俺に命令を下した。
「ナギ………俺、ナギのことが好きなんだ……恋人になって欲しい。」
……………… え ………………
「えええええええええええええええええええええっっっ!!!?」
頭が真っ白になって思わず俺は手を放してバンザイの形で固まった。
これは夢なのか?
一生こんなことはないと思っていたことが 今 目の前で起こっている。
なにこれ、なにこれ、本当に現実?!?!
俺の手は小刻みに震え、その震えを抑えるかのように両手で顔を覆った。
「マジか?!」
無意識にそう唇から零れ出る。
「俺は
修斗は俺の顔を覗き込むように不安そうに聞いてくる。
どうしよう
どうしよう
どうしよう
何か言わなくちゃ!
修斗になんて言おう。
俺も好きだとか言う??
ぎゃー!!恥ずかしくて言えないっっ!!
そこで情けないことに口をついて出た言葉が…
「お…王様の命令は絶対だからな……」
うわーーーーっっ!!
まさかの上から目線発言っっ!!
バカバカバカーーーーッッ!!!!
俺のバカーーーーーッッ!!
なんつー 答え方なんだよっっ!!
イヤイヤかよーーーーッッ!!
早く訂正しないと修斗が傷つくし、この告白を取り消しされちゃう!!
「あのな、修斗……」
俺が顔を上げると修斗は怒るどころか嬉しそうに微笑んで
「有難う。大好きだよ。」
宝物を抱くように、ふわっと優しく抱きしめられた。
嘘みたいだ。
何度も何度も夢見ていた修斗の胸の中に今 自分がいるんだ。
幸せ過ぎて 胸が一杯で 何も言えなくて、俺も修斗をぎゅうううって抱きしめ返した。
「う、ナギ 苦しい。」
「ご、ごめんっ!!」
ぱっと手を放す、すると修斗の額がコツンと俺の額に優しく当たる。
「嘘、ナギの顔が見かったんだ………」
うわぁ、恥ずかしいことをサラッと言うなよ。
「………3つ目のお願い いいかな?」
「ど……うぞ」
「キスしてもいい?」
「!!」
キ、キスーーーーっ!! えええーーーーっっ!!
「ダメ?」
ダメとか そんなこと聞くなよっっっ!!
俺は修斗の顔が見れなくて下を向いたまま、精いっぱい答えた。
「だだだ、駄目とか、そんなのはないだろ、王様の命令は絶対なんだから……」
心臓が ドッ!ドッ!ドッ! と爆発しそうな勢いで鳴っている。
心臓鳴り止めよっっ!!
いや、鳴り止んだら死んじゃうんだけどっ!
少しは静かにしてくれっ!
修斗にきこえちゃうだろっっ!!
修斗が俺の顎に手を添えて上に向かせると視線が絡み合う。
いつも見慣れているはずのイケメンの顔が眩しくて俺はぎゅっと目を瞑って自らの視界を遮った。
少し間があったあと 唇に例えようのない柔らかいものが触れる…
これがキスなのか……
「………………………」
夢みたいだ。
修斗に告白してもらって恋人になって
初めてのキスをして
俺、凄い幸せ……
プルルルルルルッ!! プルルルルルルッ!!
「!!」
うっとりとキスに酔っていると、突然電話が鳴った。
心臓が飛び出るほど驚いて、俺達は慌てて唇を放した。
聞き覚えのないこの呼び出し音はスマホじゃなく、壁に取り付けてある内線電話のものだった。
内線電話はずっと鳴っていているけど、ここには生徒会役員は誰もいない。
勝手に出ていいものか悩んだが、修斗が受話器を取った。
「もしもし?……はい………はい……ナギこっち来て」
呼ばれて恐る恐る二人で受話器に耳を当てると能天気な声が聞こえてきた。
「やっほー❤二人とも揃ったぁ?オレオレ生徒会長だよん❤」
「生徒会長?!」
「あのねぇ、今、命令の譲渡の件、先生に聞いたらダメだってさ!だから修斗君にあげちゃ駄目だよ?もし修斗君が命令しても無効だからね?」
ガーン
Σ(lll゚△゚)☎(゚△゚lll)Z
もうあげちゃいました。
2つとも……
「…………わかりました。」
受話器を置くとその場にぺたりと両手両足をついて 修斗がショックのあまり滅茶苦茶落ち込んでいる。
まさに orz のポーズそのまま……
「無効って……そんな……」
「修斗っ!大丈夫だよっ!俺が命令するからっ!!」
「ナギ……。」
恥ずかしかったけど「付き合ってください」と「キスしていいですか?」と命令を下すと修斗は嬉しそうに2度目のキスをしてくれた。
長い長いキスのあと、修斗の唇がゆっくりと離れていく……
もっとキスしていたかったな。
唇を重ねるだけでこんなに幸せな気持ちになるなんて❤
「有難う。俺 幸せだよ。」
「うん…」
俺もだよ。
修斗が再び ぎゅっと抱きしめたその耳元で。
「俺、幸せ過ぎて凄く不安なんだ。さっきみたいに急にこの命令がなかった事になったらと思うと……俺…嫌なんだ。」
幸せ過ぎて怖いってそれは俺も同じで、さっきの電話は本当に怖かった。
「だからごめん。ナギが俺のモノだって証拠が欲しい。ナギを………たい………いいか?」
消え入りそうな声で囁かれて後半は良く聞き取れなかった。
「ん……いいよ。」
修斗に抱きしめられて耳元で熱っぽくささやかれたら、心がフワフワと舞い上がるし、頭の中はクラクラしちゃって、俺は何も考えられずにOKを出していた。
「有難うナギ……有難う……」
「あっ………えっ?」
どさっと仰向けにソファーに押し倒された。
「ナギ 愛してる」
修斗が上からキスの雨を降らせる。
「んっ……あんっ……ふぁ……んぅっっ!!」
修斗のキスの雨は身体中の力を奪っていく…………
気がつけば俺の制服は床に落ち…
そして……………
………俺達は……………
…………………深くつながった……………
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