第19話 無欲の勝利
「ぷっ!はははははははは!ダーリンの思惑通りじゃん。無欲の勝利だね。良かったよ。」
「あれ? でもチェックの時に何か話をしていましたよね?」
「ああ、このメダルで良いんだなって言っただけだ。」
「それって……」
「大丈夫大丈夫。聞いただけだから❤本人もハズレって知ってたみたいだしね。元々 辻君は皆が貢物持ってくる中、ダーリンに頭を下げて皆に公平にして下さいってお願いしに来たんぜ。それであのヒントを出すことになったんだよ。ね~?」
生徒会長が副会長にウインクして同意を促している。
「岩崎君はそんな真っ直ぐな奴が悪いことをすると思うのか?」
俺は左右に首を振った。
「思いません。疑ってすみませんでした。修斗、ごめん。」
疑った自分が恥ずかしくなって、二人に深く頭を下げた。
「……で 岩崎君、君の命令は何なんだい?」
「え? 今のですけど、本当のこと知りたくて」
「……あのなぁ、それって命令とか願い事じゃないぜ。」
「あ!じゃあ俺の願い事を修斗にあげるのはいいですか?俺のは もう叶えてもらったし、修斗は女の子達にメアドやLIME IDを毎日しつこく聞かれて大変だから聞くなって命令出させてあげたいんです。いいですか?」
生徒会長が俺を指さして真面目な顔で副会長に聞いた。
「おい、この生き物は天使か? 」
「純粋なんだろうな。まあ俺達が汚いものを見過ぎていると言うのもあるけど……」
「ナギ、本当にいいのか?俺に願い事くれても……後悔しても知らないぞ? 」
修斗が傍に来て俺を諭す様に確認してきた。
「後悔なんかしないよ。2つともあげるよ。あ!譲った事、みんなの前で言わなくちゃいけないのか!どうしたらいいですか? ……あれ?」
振り向くと生徒会長と副会長はもうドアの所にいて生徒会室から出ていこうとしている。
「待って!副会長っ、このことみんなに伝えないと……」
「それはどうかなぁ~。そんなことしなくてもいいんじゃないかなぁ~。」
ニヤニヤしている生徒会長の隣でキリッとした副会長が左手の中指で眼鏡の中心を押し上げながら言った。
「机の上にこの部屋の鍵があるから戸締りはちゃんとして帰って下さい。」
「えっ?」
パタンとドアが閉まると修斗と二人きりになった。
なんなんだよ~~~。
なんで部外者に戸締り頼むんだよ。
ひどすぎないか? ウチの生徒会。
「ナギ」
「あ、うん、なに?」
「俺の願い事、誰にも聞かれたくないから鍵をかけてこっちに来てくれ。」
「えっ?まさかキャラメルポップコーンはダメとかじゃないよね?」
「ポップコーンなんか10個でも20個でも買ってやるから、ちょっと茶化すのやめてくれ。」
茶化してなんかないのに。
俺は子供のようにぷうっと頬を膨らまして、言われた通りドアに鍵をかけた。
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