第17話 真実を聞きたい



あ、いい命令を思いついたぞ!!


「じゃあ修斗、映画館でポップコーン奢って!」


「だあああああああぁぁぁぁぁっ!!」


再びコケた校庭内のみんなは半分怒りかけていた。


自分でもわかっている。


何でも叶う命令をたった500円のポップコーンに使うなんて勿体無いってと思うよ。


でも、でもさ………


「なんでも命令できるのになんて欲がないんだ。」


「アホなのかこいつ」


「そんなどうでもいい命令なら俺にくれよっ!!」


参加者や観客からは様々なヤジが飛んでくる。


「あ、あ、あのっ!!キャラメルポップコーンじゃなくちゃ絶対嫌だ!!」


「わかってるって映画館ではそれしか食わないだろ。お前は」


「うん」


ブーブーとみんなのブーイングが聞こえてくる。


副生徒会長が騒ぐみんなを鎮めた。


「みんな静かに!2つ目の命令は?」


「2つ目…」


どうしよう。


本当になにも思いつかない。


頭の中にあるのはあの命令だけ……


それならいっそのこと修斗にあげちゃうか?


いつもお世話になっているとか、これからもお世話になるお礼とか何とか言って…………


修斗も王様になりたかったはず……。




あれ?



なんか頭の隅に引っかかる。


<「あっ、これ!俺のとこう………」>


あの時の修斗の言葉………あの時は気が付かなかったけど、あれは


『あ、これ!俺のと交換してくれ!』


って言いかけたんじゃないのか?


だとしたら修斗アタリを知っていた。


なんで?


どうして?


修斗はズルをしたのか??


違う!そんなことするような奴じゃない!!



……だけど……



「王様?おーい?王様、大丈夫かな?」


朝礼台の下から生徒会長に声をかけられ我に返った。


「…………2番目の命令は個人的に命令したいです。副会長…」


急にテンションが下がった俺を不審に思ったのか、副会長が優しく声をかける。


「? 岩崎 渚君?何か思うことがあるんだね。」


生徒会長がいつものように軽いチャラけた声でアナウンスをする。


「はいはーい❤もうお開きだよー。みんな帰るよー!!」


「えええええええーーーーーーーっ!!!!」


校庭の内外から大ブーイング、それはそうだろう。


叶えた事は1つ、キャラメルポップコーンだけ……


それでも終了だからと生徒会役員に追い出されてしまえば皆は帰らざるをえない。


「大した命令じゃなかったなー。」


「今年はつまらなかったな。」


一同皆だらだらと帰っていった。


でも、2年生からは


「自分が当たるかと思ってドキドキした。」


と口々に言う生徒が多かった。


生徒会役員達は機材を手早く片づけ始め、校庭から人がどんどん去って行く。


「岩崎君、言いにくい個人的な命令なら生徒会室を使っていいよ。あそこは防音になっているから誰にも聞こえない。」


こんなモヤモヤした気持ちで知らないふりをするのは嫌だ。


「…………………有難うございます。生徒会室 使わせて貰います。そこで修斗と副会長に話が聞きたいです。」


2つの命令で二人の口から真実を聞かせてもらうぞ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る