第5話 彼との会話
ピピピピピッ!ピピピピピッ!
アーラムがなっている音がする。
止めないと。
けど、手が動かない。
体がだるい。
いつもだったら何事もなくアラームを止められるのに、なぜか今日は体が言うことを聞かない。
「頭痛くなってきた…」
もしかして…
そう思い、体温計を脇に挟んで、熱を測ってみた。
「やっぱり…」
38度…。
結構あるな…。
元々病気によくかかるから、熱の感覚が分からない。
だから、こうやって頭が痛いだとか、そういうので気づけるからある意味有難い。
「ごめん。母さん。学校行けないや。」
母は出かけている。
自分でかけるか…。
「すいません。3年2組の…」
「あーお前か。どうしたんだ。風邪か?」
「あーまぁ、そんなところです。」
「そうか。辛い時は頼れよ。」
「ありがとうございます」
こんな会話をして、意識が途切れそうになる中、自分のベッドへ直行し、いつの間にか昼くらいまで寝ていた。
「熱はマシになってそうな気がする…」
ピピピピピッ!
37.5度…。
「もう少し寝るか…」
そう思っていた矢先に
インターホンがなった。
多分あいつだろう。
「よ。」
やっぱり。
こいつは俺の唯一の男友達。
「いつもありがと。ゼリーとかある?」
まぁ言わば、幼馴染ってところ。
「おう。」
「じゃあ、貰おうかな。」
「お前が風邪ひくのなんて久々だな。」
「そう?いつもの事ながら最初は熱があるなんて気が付かなかったけどね笑」
「お前らしいな。」
そう言って彼はクスっと笑った。
相変わらず無愛想なフリして優しいんだよな。
それに…
「なんだ?」
顔を覗き込まれて思わず視線を外してしまう。
「照れてるのか?」
「違う!」
何をムキになってるんだ僕は。
「冗談だって笑
一緒にゼリー食おうぜ。」
やっぱり彼のいいところはこういうところだ。
「うん。僕コーヒーゼリーがいい。」
「え、俺のコーヒーゼリーなんだけど。」
「病人をいたわってくれ。」
「しょうがねぇなぁ。」
彼の雰囲気はどこか落ち着くんだ。
それに彼は唯一…
「母さん。俺にもこんな友達が出来たんだ!」
そう言える程の友達だ。
彼が帰っていく。
熱で少しだけ脳が麻痺してるのが感じられる。
今日はきっと安静にして寝た方がいいだろう。
日記は書くけどね。
「今日は唯一の男友達が来てくれた。やっぱりあいつは良い奴だ。僕も彼を参考にしてみようか。いや、辞めておこう。彼は彼一人だけで十分だ。」
彼はもう寝ただろうか。
おやすみ。
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