第3話 君と過ごす日々。

僕は前まで退屈な日常を送っている真っ最中だった。きっとこの世で1番「生きている」とはなんなのかを考えてない人だった。

けど、彼女に会ってから変わった。

今の僕の「生きている」とは河本美鈴そのものだ。


「おはよ。」


河本美鈴…。


「おはよう。」


たったそれだけの会話をして終わり。かと思いきや…


「今何聴いてるの」


え?


「え?あ、」


Rainだ。


「Rain…っていうバンドの曲だけど…」


「好きなの?」


「え、まぁ。」


「私もすき。」


そう言って微笑む彼女を僕は…


「河本…さんって。」


女神みたい。


「なに?」


あっ


「……れ」


「れ?」


「Rainの密さんに似てる。って、言われない?」


なんという咄嗟の嘘だ。演劇部にでも行ってみようか。


「はあ!?」


「え?」


「私が密さんみたいって言った!?」


なんか怒ってる?


「ごめん。嫌だっ…」


「私の憧れの密さんみたいって!?」


ん?「ん?」


「そんなこと言われたら照れるじゃん…」


え、可愛い。

女神が微笑むと天国が見えるのは本当だったみたいだ。


「もしかしてツンデレ?」


「はぁ!?そんなんじゃないし!」


「けど、耳あか…」


「うっさい!」


僕の女神。

Rainの音の女神。

僕に「生きている」ということを教えてくれてありがとう。

僕はまた1つ「生きている」ということを学んだよ。


その日僕は家に帰って日記にこう書いた。


「河本美鈴という女神と話せた。Rainありがとう。明日になったらまた話せるといい。そう思う。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る