君の瞳に僕はいるのか

ヨルミ

第1話 君と出会うまで。

よく晴れた4月のある日。

僕はなんの変哲もない日常を意味もなく生きている。

朝のアラームを止め、階段を下り、パンにバターを塗り、パンを焼く。

皆からはあまり理解されないが、パンにマヨネーズをかけても美味しい。

これは僕が生きていて初めて見つけた喜びなのではないだろうか。


そして焼けたパンを取り出し、牛乳をコップに注ぐ。


そしてテレビをつける。天気予報の確認だ。今日は晴れのち曇りらしい。

僕は快晴より、ちょっと曇った空の方が好きだから助かる。


僕は食べ終わった後のアルミホイルのお皿をグシャグシャにまとめて捨てた。


学校の制服に着替えるために自室へ戻って、生暖かい空気の中で着替えを済ました。

僕の学校の制服は赤のチェックのネクタイにブレザーという普通の制服だ。最近はネクタイピンを付けるのが流行りらしいが、僕にはそんなお金ないから普通の制服を着て、学校に行っている。


時間割の確認をしよう。

1時間目は体育か…。今の体育の時間では男子の方は長距離をやっている。正直言って、僕は走るのが嫌いだ。

多少なりとも疲れるのはしょうがないが、普段から運動をしていないから走ったら次の日筋肉痛に襲われるのだ。


そしてイヤホンを耳につけ、大好きな「Rain」というロックバンドの曲を聴きながら登下校する。


これが僕の日常。

何気ない毎日。

「Rain」の歌詞には、

「僕の日常に君が舞い込んだ」

というフレーズがあるのだが、僕はいつも、そんな事あればいいなぁ。という程度で聴いていた。

けど、僕の日常なんかに舞い込んだとしても、ろくな人じゃないことは分かっていた。


そして僕は、その「ろくな人じゃない」という人に出会ったんだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る