パピ
勝利だギューちゃん
第1話
ベット脇に、ぬいぐるみが置いてある。
世界にひとつだけの、ぬいぐるみ。
私の、キャラクター。
クラスメイトが、お金を出し合って作ってくれた。
名前は、パピ。
モンシロチョウの、女の子。
チョウなのに、おでぶさん。
私の、お友達。
病気で寝たきりの私の、唯一の話相手。
クラスのお友達?
私は今、地元を離れて、都会の病院で生活している。
といっても、割と山よりなので、空気は悪くない。
空気の奇麗なところが、好きなんだけどな・・・
パピは、私が地元を離れる時に、クラスの子たちが、プレゼントしてくれた。
私が描きためたキャラの中から、この子を選んでくれた。
チョウのように、飛んで帰って来られるように・・・
空を飛べるのはこの子だけだったので・・・
もう、ぬいぐるみとお話する歳ではないんだけどな・・・
窓の外から、青い空が広がっている。
都会とはいえ、ここは山に近い。
何頭かのチョウが、飛んでいる。
まるで、パピを誘っているのようだ。
「行っておいで。お友達のところへ」
軽く、パピの頭をなでた。
そして、いつの間にか私は眠っていた。
窓からの、風が心地いい・・・
「・・・」
「まや・・・」
私を呼ぶ声に、目が覚めた。
まやとは、私の名前。
「パピ?」
「まや、ようやく起きたね」
「どうして?しゃべれるの?」
「うん。ここは夢の中よ」
「私の?」
パピは首を横に振った。
「ううん。私の?」
「パピが?」
「そう。これからまやを、私の世界に招待するわ」
「あなたの?」
パピは頷く。
「じゃあ、行こう。世界へ・・・」
パピに手を取られて、私は飛び立つ。
「パピは、飛べるんだ・・・ね・・・」
「チョウだもの。自分で作っておいて、そういう?」
思わず笑みが、こぼれた。
私は飛び立った。
クラスメイトのみんなの、願いを込めて・・・
どこへでも、飛んでいけるようにと、贈られたパピ。
みんな、ありがとう。
パピ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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