異世界でもやっぱり銃は最狂です
千里
放浪記アルタゴ編
第1話 死と異世界
『お主等ちゃんと儂の話を聞いておったか?』
「えっ、あぁ、うん聞いてた‥たぶん」
「お爺さんごめんね、拓真っていつもこんな感じだから」
『お主等は、自分達の立場が分かって居らぬ様じゃな』
「分かってるよ!死んだんでしょっ、私達」
「あっ、俺死んだのか…って、なんで沙紀が居るんだよ!」
「そんなの決まってるでしょ!拓真の行くとこには絶対に着いて行くんだから」
『すまんがのぉ、儂…話を続けても良いかのぉ』
俺達は今、不思議な空間に居る。
真っ白な床以外は一面真っ青で、まるで空にでも居るような錯覚を感じさせる場所に…
目の前には真っ白な服を着た老人と、なんでか知らんが横には沙紀が居た。
「爺さん、俺はホントに死んだのか?」
「話聞いてたんじゃないの?拓真!」
『さっき説明したんだがのぉ』
「じゃあ何で沙紀がここに居るんだ?」
「やっぱり聞いて無かったんだ…」
『この子はのぉ、お主が死ぬ時の巻き添えに遭ったんじゃよ』
「じゃあ俺はどうやって死んだんだ?」
「あたし達は鉄骨の下敷きなったんだよ」
『そういう事じゃのぉ』
「じゃあここはラノベで言う神の世界か?」
『お主等の世界では、儂等の事を神と呼んでおるようじゃが、儂等は魂の根源を司る者じゃよ』
「まー良く分かんねぇからいいや…ところで俺と沙紀がここに居る理由は転生か?
『良く分かっておるのぉ』
「ラノベの定番だからな」
『今回はお主等の幽体に現世の時と同じ身体を構成するからのぉ、転生と言うより転移に近いかのぉ』
「それは有り難いな」
「そうだね、見慣れた自分の身体が一番だもんね」
『それからのぉ、他世界に行っても問題なく過ごせるよう言語能力も授けとくからのぉ』
「普通に読み書き出来る様になるんですか?」
『うむ、そう言い事じゃ』
「なぁ爺さん」
『なんじゃ?』
「なんで俺達他の世界に転移させられるんだ?」
『もっともな質問じゃな』
『不本意な死を与えられた者は、みな転生なり転移をさせ残りの余生を生きてもらう為じゃよ』
「寿命で死んだ奴は?」
『生命の根源が尽きてしまうからのぉ、そこで終わりじゃな』
「それで俺達はどこの世界に飛ばされるんだ?」
『どこに転移するかは儂でも分からんのじゃ』
「は?爺さんが俺達を飛ばすんだろ?」
『儂が行き先を決める訳ではないんじゃ!ほれ、お主等の後ろを見てみい』
俺は後ろを振り向いた。
「なんだ?あのデカい扉は…」
『異界の扉じゃよ』
「さっきまで無かったぞ?」
『扉は転生転移先が決まるまで現れん。それが現れたんじゃからお主等の転移先が決まったと言う事じゃな』
「ゲートみたいな感じか…」
「あたしは拓真の行くとこならどこだって着いてくよ!例え地獄でもね」
「不吉な事言うなよな」
『さて、そろそろ時間じゃな。その前に、これは儂からの土産じゃ』
爺さんから宝石の付いた指輪と七色に光ってるピンポン玉の様な物を渡された。
「なんだよこの光ってる玉と指輪は?」
「綺麗だね」
『指輪はのぉ、次元の指輪と言って物質を空間内に収納する為の物じゃ』
「あぁ、アイテムボックスってやつか どうやって使うんだ?」
『指輪に付いとる霊石に触れてみると分かる』
「この赤い石の事か」
俺と沙紀は赤い石に触れてみたら、近未来映画とかでよく見る小さなウィンドウが現れた。
『その状態で収納したい物に触れると、今お主等が見とるウィンドウに収納物の名称と収納するか否かの選択が表示されるのじゃよ』
「どんな物でも入れられるの?」
『お主等が触れられる物ならな』
「人でもか?」
『人でもじゃ』
ラノベとかだと生きてる人間を入れる事は出来ないってのが多いが、今回はそうじゃない様だな。
「じゃあこっちの玉はなんだ?」
『光武の霊玉じゃよ』
「なんだそれ?」
『別世界で生き抜く為の個人の力と言えば理解出来るかのぉ』
「あぁ、神がくれるチートか…どうやって使うんだコレ?」
『何もせんでよいぞ。扉を
「どんな能力かも分からないって事か」
『そこは楽しみにしとくんじゃな…ホッホッ』
『ほれ、扉が開いたぞい。新たな人生を楽しんで来るんじゃぞい』
「なっ、勝手に吸い込まれ…」
最後まで喋りきる前に扉の中に吸い込まれてしまった。
「うわぁ、落ち…る……?」
「すごぉーい、フワフワ浮かんでるよあたし達」
<他言語理解能力を習得しました>
<多言語発言能力を習得しました>
「うおっ、なんか頭の中で声が…」
<文語筆記能力を習得しました>
「さっきお爺さんが言ってたの、この事だったんだね」
<光武の霊玉の所持を確認。これより霊玉をランダム変換します>
(ランダム変換?)
<…変換が完了しました>
<特殊武器 アサルトライフル夢幻 を獲得しました>
「なんか武器に変換されたぞ!」
「あたしのは、魂操術だって! よく分かんないんだけどねっ」
「なんだよコンソウ術って? 槍や棒を使う武術の事か?」
「あたしも分からないよっ」
「拓真の銃ってなんだったの?」
「夢幻とか言うライフルだ」
「なにそれ? ムゲンガン?」
「武器なのは分かるが、夢幻ってのは銃の固有名詞かもな」
などと話し合っていると…浮遊感が無くなり
「うわぁっ」
〝ドタッ〝
「いったぁー」
……2人は地上に落ちた。
「あっ、拓真の目…」
「沙紀…お前‥髪が…」
「「えっ?」」
拓真は片方の瞳が七色に、沙紀は茶髪が白銀髪に変わっていた。
2人が降り立った…と言うか落ちた場所は、広大な草原…でも無ければ、賑やかな街の一画…でも無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます