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屋上。まるで平和な世界に居るかのような快晴の空だった。少し肌寒い分、太陽の日差しが暖かく感じる。

だが下にはゾンビが十数体居て現実に引き戻される。


松浦は全部のゾンビを傷つけて鉄板を引き上げようと思った。ゾンビを裏側におびき寄せようとするが、集まりが悪い。おそらくユウキの存在が邪魔をしている。


なるべく裏側でゾンビをやっつけたい。

だが松浦の思惑とは裏腹に数体しか近寄らない。

[焼却場の鉄板をあげたいんだがゾンビが邪魔なんだよ]

松浦は二人に聞こえるように言った。

[ボウガンがある]佐々木が返事した。


施設内に戻り佐々木は組立式のボウガンを取り出した。

[矢は自転車のスポークがあれば]

壊れてるが自転車は数十台ある。が向こう側の焼却場なんだ。と松浦が答える。

[鉄板をあげたら、後は勝手にゾンビは落ちていく]

松浦は至極簡単な説明を加えた。


夕暮れになり、ゾンビが襲わなくなるのをしっかり見計らってから、鉄板を上げに表に周る。

コテを使い持ち上げるのだが三人でも厳しく、ユウキにも手伝ってもらう。

四人でようやく持ち上がった。後は、向こう側の金具の取り付け。ロープの取り付け。

佐々木が中を覗き驚く。三人の遺体。

佐々木は何か言いだそうだったが、松浦は首を振った。

アユミは焼却炉内に近付こうともしなかった。

松浦はモップでゾンビを次々と焼却炉内に落としていく。

[あとは数日してから燃やす]

松浦は何も言わない佐々木に独り言のように話した。

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