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松浦は部屋に戻りすぐ布団に入った。

アユミに思わず、なんとかする。と言ったもののどうなんとかするのか全く分からなかった。そのうち考えるのが面倒臭くなり寝入った。


アユミは佐々木と松浦のどちらかを選べと言われたら困る自分に気付いた。

佐々木はいざとなれば自分よりも絶対に子供を取るだろう。

松浦は私を取るだろう。それにあの三人の無情に殺す強さはアユミにとって考えてた以上に強烈だった。あの非情さの強さと機転の良さは普段の松浦から決して想像出来ない。

いざという時は松浦の方が遥かに強いでは。と思う。


本当に強い男は普段は隠してる。

飲み屋で働いてた時にそんな事を言った社長を思い出した。


佐々木の思考や行動は理解出来る。似たような人はたくさん居た。だが松浦はまだ分からないままでいる。


これから二人にどう接するかを考えながらアユミは眠りについた。


ドアのノックでアユミは目覚める。まだ寝足りないので、何かあったのだと思ったが、ドアを開けたら松浦で、もう昼だと言った。

随分と寝ていた。佐々木も起きていてユウキもだいぶ良くなったのか起き上がっていた。

アユミを見てユウキは、はにかんだ。

佐々木は子供をダシにして情を沸かすに違いないとアユミは思い、チラリと見ただけにした。が松浦は既に遅かった。ユウキの前にユウキが読みそうな本をたくさん積んでいた。


アユミはため息を吐き、

[調子はどうなの?ご飯食べられてた?]

と聞いた。ユウキはしっかりした声で答えて、ありがとうございます。と丁寧に返事した。

[私は何もしてないわ]

少し臭さが鼻につく。でも風呂にはまだ早い。いや、熱い風呂に入った方が逆にいいのかも。

[熱い風呂に入らす?]

松浦に聞いたが松浦は、分からない。と答える。

[とりあえず何をしたらいいかな?]

佐々木が尋ねる。

松浦は、外に出る。と答えた。

ユウキを置いて三人屋上に登った。


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