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風呂から出た無精髭の無い男はなかなかのいい男だった。松浦と違い精悍さが身体から滲み出ていた。
松浦がご丁寧に何種類もの食料を出した。
この男には計画性というモノがないのか?とアユミは呆れた。
名前をお互い言わなかったが、男が勝手に名前を名乗った。
[俺は佐々木。この子はユウキ。勇ましい樹木と書く]
松浦も名乗った。仕方なくアユミも名乗る。
名前をわざと聞かなかったのは距離を近づかせたくないからだ。
[もし手伝う事があれば言って欲しい。大工仕事や配電はたいがい出来る]
佐々木はゆっくりと食べながら言った。男の子、ユウキはずっと寝入っている。
[何歳なの?]
アユミは子供を見ながら聞くと、十一歳だと佐々木は答えた。
[罠とかも作れる。動物も調理出来る]
佐々木は言った。悪い男ではないらしい。
松浦はあいまいにうなづいた。
沈黙の中の食事が終わる。
[お酒あるけど]
アユミが言い、佐々木は感謝を述べた。
一人で呑むのは味気ない。
松浦がタバコあるよ。と言った。佐々木は、吸わないんだ。と断る。
松浦を除け者扱いにならないようアユミが、私、吸いたい。と言い、佐々木と子供から離れた廊下の隅に松浦と行った。
[ねぇどうするの?三人も大変だよ]
アユミは松浦に言った。私と佐々木と子供。佐々木はともかく、女の私と子供。足手まといになる。
アユミも松浦もそれは分かっていた。でも松浦は心のどこかで妙に嬉しくもあった。
[な、なんとかする]
松浦は言った。なんとかするしかない。
アユミは、松浦からそんか言葉が出るとは思わなかった。
頼りになるのかならないのか分からなくなる。
[あの三人は…]
アユミは焼却場の方を見て言った。
[鉄板を開けよう。多分弱まってるからゾンビを入れとけば大丈夫なはず]
松浦の言葉にアユミはうなづく。
アユミは問題を一つ一つ片付けていきたかった。
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