ゾンビサバイバル コミュ障のオッさんが仲間と一緒にサバイバル
じゃむ
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ゴミ処理場の一室。窓の無い六畳の部屋。元は倉庫。壁と天井には何枚もの毛布や布が貼り付けてある。床には分厚いマットや布団。その上に机。机の上にペットボトル。
ここが松浦の住処。この部屋で三年目の冬を過ごす。
ゴミ処理場での生活は最適だった。人里離れた場所にあり、そこへ続く道路は一本道。今では木や草に覆われていた。人間は滅多に来ない。
以前は異臭の放つゴミ山だった。今は宝の山だ。使える物がたくさんあった。壊れている物は燃やす物になった。
それよりもゾンビを焼却炉へ誘導するように出来た。
ゾンビは何処からどうやって来るのか松浦には分からないが、毎日数体は松浦を襲いにゴミ処理場にやって来る。
あの事件後に松浦はまず窓やドアを全て塞ぎ、焼却炉への入り口まで一本道にした。各部屋へは手作りのハシゴを使いダクトから入る。
焼却炉の反対側には操作室、従業員室、倉庫があり、ほとんどの時間をそこで過ごす。やってくるゾンビは外壁から壁つたいに。やがて焼却場に落ちていく。この焼却炉は三メートルと五メートルの深さで落ちたゾンビは決して登れない。
最初の頃は何十体も来てその都度燃やしていたが煙突からの煙で人間にバレてしまう事に気付いた。
五体までなら煙は全く目立たない。それに放置しておけば互いに共喰いする事を知った。
暇つぶしの本や雑誌もある。新聞紙。使えるゲーム機。乾電池。衣服。雑貨。
ゾンビが現れるまでの日本は大量消費の時代だった。壊れたら買い換える。それが当たり前だった。
灯油も重油もまだ残っている。収集車のガソリンは使えないが、まだ燃える燃料にはなる。
水は地下水からの汲み上げ。冬の融雪用から。電気はなくても水は出続けている。ろ過や消毒はしてないが松浦は一度もお腹を下した事はない。
他のゴミ処理場は知らないが松浦はここで住む事を最初から決めていた。
松浦の職場がここだったから。
欲しいのは食料。それだけは仕方なく探しに出かける。
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