侵入者との距離
ユアはまず『理科室』に移動した。
彼女の悲鳴が聞こえないところをみると理科室に侵入者は居なかったようだ。
でも恐る恐る入ったであろう理科室。人体模型のお出迎えだけでも軽い恐怖がありそうだ。
彼女の芯の強さが凄いと思えた。
「大丈夫?」
カナからの問いかけにユアは平気と答えた。
ここでユアは特技を使う宣言をした。
「私から侵入者までの距離を教えて」
数秒の無音の時間が訪れた。
皆が固唾を飲む中、メインコンピュータから回答があった。
「ユアさんと侵入者は隣り合った部屋にいます」
えっ、それってもう次のターンで侵入者が理科室に入って来て終わりってことじゃん。
侵入者からの順番なので逃げようがない。
ナナミは一瞬にしてお嬢様が拷問を受ける姿を想像してしまった。自分のことのように胸が苦しくなる。
ユアは無言のまま固まった。こちらは想像ではなくて拷問を受けることが確定したのだ。
この現実と同じとしか思えない空間でそんなことをされたら、実際に怪我はなくても悪夢でうなされるのと同じくらいの苦痛でしかない。
侵入者は合法的に拷問が出来ることを喜ぶような変態野郎かもしれない。
こんなリアルな世界だと思わなかった。
巨大なテレビゲームみたいなものだと思っていた。
次のターンでユアの心は汚される。
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