第24話 9/18 イベント報告3 『第5回文学フリマ大阪』

台風が直接急接近もなんのその。

本年最初で最後のビッグイベント「第五回文学フリマ大阪」へ行ってまいりました。

とてもアットホームで穏やかだった「尼崎文学だらけ」とは一線を画し、300ブースに紛れての様子をご紹介。


ともかく前日が前日のためヒヤヒヤのし通しながら、交通機関がマヒすることもない当日は、台風一過の信じられない青空。

立地は駅からほぼ直線。わらわらと大きな荷物を持った方々の大行進に紛れこみ歩きます。

ならすぐにも視界に飛び込んでくる「堺産業振興センター」の文字。

(この会場は今回が最後と聞いています)

入口ではすでに入場を待つ出店者の列が出来上がっておりまして、またもやNRはしょぼしょぼ目を泳がせます。

かろうじて最後尾に着いた数分後に入場は始まりました。


入場時、交換にカタログと真っ青な「エブリスタ」さんの簡易バッグを頂きます。


うーん。

「尼崎文学だらけ」とは規模が違うとはいえ、目の前にした会場の広さに驚きました。そして思ったよりも机の間隔が狭い。そこでこれまた始まった一斉設営の活気たるや、

「殿、敵陣が目の前に!」

「なにを! 者ども向かえ、向かえぇ!」

ぱおぱー、ぱおぱー。

カッコ、ほら貝。

舞い上がる砂埃。

馬群、疾走する地響きと上がる鬨の声。

の迫力と勢いです。

長いわ。


NRも前回での学習成果を発揮し、入場の際は運営さんへ大きな声でご挨拶。自身のブースではお隣の方へもご挨拶して、2度目ならこなれたものと売り場を作ってゆきます。

テーブルの横幅が短く、奥行きが深いことに敷き布がたりない!

とあわあわしながらも、用意していた見本誌の提出もクールに決め、

最後までスカした顔で準備を完了しました。

会場はもう、長机の並ぶ会場にみっちりの書籍と出店者。映画「マトリックス」でネオの前に銃器がずらーっと出てくるあの立体感そのもの。そら壮観です。


あまぶんと違って前日設営のない今回、開場からの1時間は丁度良い準備時間だったと振り返ります。そして大は小を兼ねる。現場へ来ないと分からないブースの実寸に備えて、敷き布は余るくらい持って行くべきだと実感しました。


開場10分前には会場への出入りも制限され、

緊張と期待が頭の中でドツキ漫才を繰りひろげます。

そして午前11時、文学フリマ大阪は始まりました。


しかしながらブースの位置から入口は見えず、何が何だか、誰が誰だか。正直しばらくワケがわからなかったです。ひたすら人混みと喧騒に瞬きを繰り返すばかり。


その中、左隣の「青猫のすみか」さんは、お二人での参戦。来客も多い人気サークルで、ラジオがついているかのようにお話も絶えないガーリーな雰囲気が超絶、眩しかったです。

右隣の「てふ」さんは、エゴサーチすらできないくらい匿名性を高めた作品を、渋いディスプレイで配布。とにかく謎めいた様が人目を引きます。

そんなこんなでテイストが真逆のサークルにサンドされた我がサークル。もうどんな顔で頒布すればいいのか。ただただかしこまって店番にいそしみます。


さすがに今回は、あまぶんのようなビギナーズラックはないよな。

人情に支えられた前回に比べ、ここは生き馬の目を抜く大都会なのだ。

ぐっと握りしめた拳で砂漠に身を沈めておったところ、

景気づけに早々、取り置きを賜っていたお客様がブースへ。

ツイッターを見て面白そうと思ったので。

あまぶんで買いそびれたので。

直線軌道でお越しになられる方々の存在が。

見本誌を見て来ました、と声さえかけていただく事態も。

おーまいがー。

その度に、こめかみを押さえ天を仰ぎます。

開いたキャノピーに大空へ緊急脱出の勢いで、パイプ椅子から立ち上がり対応させていただきます。

そりゃそうです。これだけたくさんのブースと本が乱舞している中で発見して下さるのみならず、行動にまで移して下さるなんて。嗚呼、一寸の虫にも五分の魂。慣用句の使い方さえおかしくなる始末でした。


やはり宣伝広告、手を抜いてはならぬな、と実感しています。

ダメもとはもちろんのこと、これはもう自分にすらくどいほど打っておくのが適量、と感じた次第であります。


13時、クーラーで冷えた体を温めついでに、隣接の喫茶でお昼を取ることにしました。据え置かれたテレビの中、高橋洋子さんが生で「残酷な天使のテーゼ」を歌唱。耳にしながらおたく感満載で温かいおうどんを頂きます。


会場周辺にはゆとりもあるため、気候の良かった今回、持ち込んだお昼を表で召し上がられている方も多くおられ、その手もあったかと感じました。

また、カレー屋さんやドーナツ屋さんの移動販売車が横付けされており、長蛇の列も出来ていました。近隣に飲食店やコンビニがないだけに、当日の昼食確保は事前の確認と計画が必要だと実感です。


その後、NRも客となり会場を散策。

14時頃、我がブースへ戻っての店番の続きにいそしみます。


ひと目で見渡せない広さの会場は、漠然と回っていてはあっという間に1時間、2時間が過ぎてしまう広さでしょう。出店者として回る場合(特に1人で参加している場合)、自分のブースの事もあるので当日いただけるカタログや事前リサーチは必至だと感じました。

あまぶんではあまり「名札」の必要性を感じなかったのですが、この規模になると必須だな、ということも痛感しています。特に名前と顔を覚えるのが苦手なNRには字面の方がピンとくるため、提げていらした方には助けていただきました。

また、大会場でのご挨拶周りのタイミングが掴めず、お世話になっている出店者さんにはおいでいただくカタチがほとんどとなり、恐縮の極み。カッコイイ大人になるべく、この辺りをスマートにこなすことが今後の課題でもあります。

さらにあまぶんに引き続き名刺等、出会いを逃がさないアイテムも携行をお勧めします。人が多いとまた後で、の確立が格段に下がります。今、渡せないものはこの後もない、くらいの気持ちで用意した方がご縁を逃がさないコツと感じました。

イベント出店を長期にお考えの方は是非、ご用意ください。余って困るようならもう、チラシ置場に名刺を置いてもいいかと思います。


気が付けばあっという間の5時間です。

一般のお客さんの数は多すぎてよく分かりません。年齢層は20代、30代が最も多いと感じました。男女比も偏りなく、年配の方もそれなりに見受けられました。身障者の方や子供さんを連れてという方もあまぶん同様おられ、趣味趣向を同じくした幅広い年代の方が来られているのだなと感じています。


閉幕まで残り1時間あたりで、あまぶんにもあったように撤収を始める方がチラホラ、見られるようになります。

そうしてお客さんの足が途切れることのないまま午後5時。ついに閉場とあいなりました。


お店の撤収のみならず、長机やパイプ椅子の後片付けをみんなで行うのは新鮮です。じっと座り続けた後だけに、体を動かすとなんだか気持ちもよく、どなたか存じ上げない方との共同作業にも自然、笑みがこぼれます。

すし詰めだった会場が平たく、平たく、崩されて行く様は、まさに無へ還ってゆくかのよう。余韻も心地よく味わうことができました。

お疲れ様、みなさん! 今日はぐっすり眠ってね。

この一言に尽きます。

いや、二言か。


今回、その後の打ち上げにも参加しました。

そうです、初参加ゆえろくに知り合いもいないのに、です。

ですがみなさん、もしあなたが初参加だとして躊躇する必要はありません。身をもって知りました。本当に皆さんオープンマインドで親切で、クレバーでスマートで、とてもあなたを大事に扱って下さいますから。

その輪に混じれば好奇をかきたてられ、心を洗われることうけあいなのです。そもそも日常的に創作談義などする機会がなければなおさら、とても新鮮な時間を過ごせることをここにお約束いたしましょう。


解放感たっぷりの2時間は、食う口と喋る口の2つが欲しいくらいです。

ひとつしかないので、あっという間に時間は過ぎて行きます。

最後、運営の方の声掛けで、一本締め。お開きとあいなりました。


そうして万感の思いと共に会場を後にすれば、表はすっかり秋の夜。

ああ、終わったなぁ。

やり切った感と共に呟きももれます。

ちょっと冷たい隙間風は、そんな気持ちにも吹き抜ける帰り道となったのでした。


完結直前の次回は、お店を閉める前の決算? 編です。

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