第百十九話 閃光!!レイディアントブレイブ!!/氷聖瓦解

 [輝け!!][Shining!!]

 [眩き!!][Lightning!!]

 [燦然たる勇者!!][Radiant Brave!!]

 [[Rising!!]]


 音声と共に白銀の中に赤いアクセントが彩られた鎧が装着され、サリアは新たなる姿へと変わった。


「それは…?」


「初代勇者の力を借りた姿。アタシの魔力を引き出してくれるんだって。」


 確かに、彼女の纏う魔力は以前のそれを遥かに上回っていた。


「だからなんざます!!このアテクシの最高傑作に、人間ごときが敵うはずがないざんす!!」


 ゴブリン・ザ・キングが再び口を開いた。今度こそ何かを放とうとしているようだった。


 [Barrier!!][Radiant!!]


 サリアがブレイブエクスカリバーのダイアルを[B]にセットすると、ブレイブエクスカリバーとレイディアントブレイブバロットレット…でいいのだろうか、それが叫ぶ。


「敵うかどうか、見てみなさい!!」


 そして剣を振るう。


 サリアの剣筋と共に光が走り、そして巨大なバリアが形成される。


 サリアと俺に向けて、ゴブリン・ザ・キングの口から極大のビームらしき光が放たれる。だがそれは形成されたバリアで防がれる。


「なななな!?」


「アンタが何で自然界を襲うのかは知らないけれど、アンタに命は奪わせない!!アタシが、勇者がいる限り、悪意で奪われる命は無いと知りなさい!!」


 [Assult!!][Radiant!!]


 再びサリアが剣を振るう。剣の光がゴブリン・ザ・キングに大きな傷をつける。


「バカな!!耐魔力装甲で出来た、このゴブリン・ザ・キングに傷を!?」


「ははははは何が魔力よ!!アンタが魔力なら、アタシは馬鹿力よ!!」


 言っている事は無茶苦茶だ。


「どうせあれでしょ、昔の虐殺を恨んでとかそんなところでしょ。」


「そ、そうざんすが…。」


「バカね。」


「な!?」


「いつまでもいつまでもウジウジウジウジ恨んでるのがバカだって言ってんのよ!!いい!?もう時間も、世代も、全てが過ぎ去ってしまったの!!今更どうしようもないのよ!!今生きてる命を奪ったところで何も解決はしない!!アンタが気持ちよくなるだけよ!!それで他のゴブリン達が納得するの!?」


「うるさいざます!!ええそうざますよ!!アテクシが気持ちよくなるだけかもしれないざます!!でもだからどうしたざます!!アテクシの気持ちが分かるざますか!?部下を虐殺された時の気持ちが!!」


「分からないわよ!!でもね!!だからって千年も恨み続けるのがバカのやる事だってのは、」


 [Assult!!][Radiant!!]


「バカなアタシでも分かるって言ってんのよ!!」


 三度剣を振るう。その光がゴブリン・ザ・キングの腕を切り落とし、巨体をたじろかせ、後退を余儀なくさせる。


「む、む、むむむむむむむ!!」


 フルモ=トーンドロの顔がみるみるうちに真っ赤になる。


「だぁぁぁぁぁまれぇぇぇぇぇぇぇえ!!」


 激昂したフルモ=トーンドロに応えるように、ゴブリン・ザ・キングが地団駄を踏みながら辺り一帯に無闇矢鱈に攻撃を仕掛けてきた。


 だが全て、サリアが貼ったバリアで弾かれる。


「きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 フルモ=トーンドロが悔しそうに叫び声を上げる。


「魔王殿!!」


 俺はその圧倒的な状況に思わずポカンと口を開けていると、いつの間にか追いついてきたフロスティーゴの部下が俺に声をかけてきた。


「え?あ?」


「これを!!フロスティーゴ様からの預かり物でござる!!」


 彼が投げてきたものを俺はキャッチする。


「それで頭を冷やしてやれとのことでござった!!」


 『フェリルブリザードプロトバロットレット』と書かれたそれを見て、俺は理解した。


「OK!!」


 俺はデュアルボウトリガーを指し、そこにエヴォリューションアウェイクニングバロットレットとフェリルブリザードプロトバロットレットをセットした。


 [[Hey!!Let's Say!! Calling!!]]

 [真価を見せる刻が来た!!臣下を守れ、真の力で!!]

 [シンカ・しんか・Shinka!!・真・心・新・進!!E・V・O・L・U・T・I・O・N!!Awakening!!Hell-Master!!]

 [Featuring!!]

 [ビュービューカチコチ野望全て氷結!!氷聖!!瓦解!!フェリルブリザード!!]


 音声と共に狼のような影が現れ、そして分離し鎧となって装着される。


 [[降臨!!]]


 狼の顔が右肩に、尻尾が左肩に付き、装着が完了すると、[B][R][A][V][E]のダイアルを一回転させて今にも必殺技を放とうとしているサリアに俺は叫んだ。 


「サリア、ここは俺に任せてくれ。」


「え、でも、これぶっ壊さないの?」


「いい、もっといいお仕置きがある。」


「できるものならやってみるざます!!」


 フルモ=トーンドロが叫び、ゴブリン・ザ・キングが俺を標的に定める。


 だが。


「ん?あれ?ちょっと、ちょっと?」


 ゴブリン・ザ・キングの動きが少しずつ鈍くなっていく。


 [Ice!!][Ice-Finish!!]


 俺の鎧と杖から発せられる冷気が、ゴブリン・ザ・キングとフルモ=トーンドロを包んでいた。


「少し頭を冷やすといい。比喩じゃないぞ。直接的な意味でな!!」


 [ヘルマスター!!][パーマネントフロスト!!][アイスワンドフィニッシュ!!]


 俺は杖のトリガーを引いた。


 杖から猛烈な吹雪が生じ、ゴブリン・ザ・キングの巨体とその上であたふたしているフルモ=トーンドロを完全に包み込み、そして、


「さむい!!さむいざます!!この…ま…あ…。」


 ゴブリン・ザ・キング、そしてフルモ=トーンドロは、完全に冷凍され、氷のオブジェと化した。

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