第百一話 進化覚醒!!ヘルマスター!!

 バロットレットが変わり、その使い方が俺の頭の中に溢れてくる。理解した。よし、やってやる。


 [Mode Shield!!][EVOLUTION!!]


 シールドの光でジュゼを包む。彼女を襲うべく迫る触手。だがそれはシールドの光で阻まれ、逆にそれに灼かれるようにして消えていく。


 呆気に取られているジュゼとティアに言う。


「お前達は…えっと…何しに来たんだ?」


 よく考えたら状況は理解してない事に気づいた。


「魔王様を助けに来たんですよ!!」


 ジュゼが珍しく涙目で声を荒げた。そうか。それはーーー。


「ああ、ああ、…ありがとう。でも、もう、大丈夫だ。」


「…はい!!」


 ジュゼが嬉々として答えた後、コホンと咳を立ててティアが時を止めた。


「あー、その、色々盛り上がってるところ、申し訳ないけれど。まずは帰還おめでとう。」


「あんがとさん。」


 俺は適当に答えた。


「ちょっとちょっとぉ、差別は良くないと思うよ。」


「雰囲気台無しにした罰だ。」


 この不気味な触手に包まれた状況で雰囲気もクソも無いが。


「ともかく、説明はボクがするよ。ボク達はキミを助けにきたのと、あとはコネクタブルブック…その精神を入れ替えるのに使った本を取りに来たんだ。それと、ここにある試作品の動力炉を暴走させて、ユーデアーラを吹き飛ばそうとね。」


「ユーデアーラというのはあの化け物に仮につけた呼称です。」


「ふむ。コネクタブルブックは?」


「そこに。」


 ジュゼとティアが同時に触手の先を指差した。触手に貫かれて本のど真ん中に穴が開いている。


「OKOK、これはこのままでいい。」


「え、しかし、いいのですか?これは結構…その、価値のある…」


「その…なんだ。神…なんだろうな、あれは。モノホンの神と契約してな。」


 俺は事情を説明した。


「なる…ほど…。それが、あれか、ボクが恐れていたのは、それか。」


「そういう事なのでしょうね。」


「そんなわけで、あの本はそのまま壊す。あっても俺達には過ぎたものだ。ティアはその…なんだっけ。タイムグローブの場所とかは分かるか?」


「知らない。ボクは自力でそれを弄るまでに到達しちゃったから。それに、この星にあるとも限らないし。」


「ちなみに私もこれしか存じ上げません。」


 確かに。神が言う"世界"とは、断片的ではあるが、各種法則が同一の"世界"を指していると思われる。となれば、宇宙全体を指していると言っても間違いは無い。


「ま、それはこの後ゆっくり探すか。とりあえず、ティアは時間を動かしてくれ。その後、ジュゼとティアはサリアと合流して、動力炉を確保して脱出してくれ。使わなくて済むと思う。」


「…OKOK、いいねいいね、その自信に満ちた感じ!!嫌いじゃないよ。雰囲気変わったね?」


 ティアが嬉しそうにはしゃぐ。


「かもな。色々あったから。」


「承知致しました。……魔王様は?」


 ジュゼの問いに答える前に、テンションが上がったティアのせいで時間が動きだし、触手が俺に襲いかかる。


「俺か、俺はーーー」


 [Mode Blade!!][EVOLUTION!!]


 俺は迫りくる触手をバサバサと切り刻み前進する。



「このバカを消滅させる。」



 俺はドラグボルケーノプロトバロットレットを、新しくなった事でスロットからはみ出している、エヴォリューションアウェイクニングバロットレットにかざした。


 [Vote!!][プロミネンス!!]


 そして炎のアイコンをタップし、体内の魔力を込めてトリガーを引いた。


 [Fire!!][ヘルマスター!!][ファイアーブレード!!][プロミネンス!!]


 獄炎が剣を包み、そして剣を振るうと、それらは魔王城内の触手を瞬時に焼き尽くした。


『ぐおおおおおおお!?』


 ユーデアーラが叫び声を上げる。


『熱い…熱いぞ!?なんだ…?ゴミが帰ってきたのか?どうやって戻ってきた?』


 その問いに俺は言った。


「お前が知る必要はない。お前が知るべきはお前が傷つけてきた人々の痛みと!!」


 [Vote!!][ブリリアンス!!]


 マンティスレイバロットレットをかざしながら俺は言う。


「お前自身の罪の重さだ!!]


 [Shine!!][ヘルマスター!!][シャインバスター!!][ブリリアンス!!]


 幾色もの光の筋が魔王城内を駆け巡り、再生された触手を吹き飛ばしながら、魔王城の外へ繋がる穴を開ける。俺はその穴を潜り外へ出る。


「まずはこの城、返してもらおう!!」


 [Shine!!][ヘルマスター!!][シャインバスター三銃連!!][ブリリアンス!!]


 三本の極大の極光がユーデアーラの触手と魔王城との接続部分を薙ぎ払うように煌く。


『ぐ、げぇあああああああああああああ!?バカな!?再生が追いつかない!?』


 三下のセリフを吐きながらユーデアーラが悶え苦しむ。


「当然だ。お前如きに耐えられるわけが無い。」


 俺は宙を舞いながら見栄を切る。


『魔王様!!全員の避難完了しました!!』


「俺が、エレグ・ジェインド・ガーヴメントが!!この魔界の王である限り!!お前に屈するわけにはいかないんだ!!」


 俺はエヴォリューションアウェイクニングバロットレットのボタンを押し、トリガーを引く。


 [Fuuuuuuuuull Releeeeeeeeeeeeeeeease!!]


「これが!!魔王の!!力だ!!」


 [ヘルマスター!!][パーフェクションブレイク!!]


 凄まじい光の奔流がヘルマスターワンドの先から発せられ、ユーデアーラの体を包み込み、


『ぐああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!???????????』


 ユーデアーラ人格破綻した勇者が断末魔の悲鳴を上げた。





<アイテム解説>

■エヴォリューションアウェイクニングバロットレット

今こそ、封じられた力を解放する時。

エヴォリューションアウェイクニングバロットレットを、開け!!

[開票!!]

別売のヘルマスターワンドへセット!!

[EVOLUTION!!]

トリガーを引いて進化覚醒!!

[真価を見せる時が来た!!臣下を守れ 真の力で!!シンカ・しんか・Shinka!!・真・心・新・進!!E・V・O・L・U・T・I・O・N!!Awakening!!Hell-Master!!]

[降臨!!]

ボタンを押して、放て!!必殺技!!

[FULL RELEASE!][ヘルマスター!!][パーフェクションブレイク!!]


更に!!バロットレットの先端部分に、別売のブロトバロットレットをスキャン!!

[プロミネンス!!]炎!!

[ブリリアンス!!]光!!

[ディアストロフィズム!!]大地!!

属性の力を使いこなせ!!

DXエヴォリューションアウェイクニングバロットレット!!

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