第571話【フィフスの加盟2】

<<マサル視点>>

「魔族と人族、亜人族、獣人族は何が違うのだ?」


「はい陛下、人族、亜人族、獣人族、これら3種族は神が意図して創られた種族であり、我々魔族は、神が意図せず発生してしまった種族なのです。」


「意図せずだと!


それでは我々はどのようにして生を受けたのだ?」


「ランス様いわく、魔素と呼ばれる物質が濃い空間で稀に自然発生するのだそうです。


他の星では、人族が魔素により長い時間を掛けて変異したケースもあるそうです。」


「……………なんと自然発生とは。


しかし、意図されずに自然発生したとしても、我々はマオー神の加護を頂き、使徒ヤルタ様による十分な発展を遂げていると思うのだが。」


「陛下、それも創造神マサルの配慮だということです。


マサル神はこの世界に魔族が意図せずに誕生してしまったことに胸を痛められ、我々に知恵を与えるために使徒ヤルタ様を遣わされたそうです。


また、当時より全宇宙の魔族の神として崇められておられたマオー神を守護神として与えて下さったとのことでした。


そして、人族からの迫害を受けぬよう、魔族のみの星ばかりと交易して互いに共存共栄出来るようにお膳立てして下さったそうです。」


「うむ...、宰相、そこまでは理解できたし、我にも納得できる。


なぜセカンズ..だったか、人族の星と交わらぬように見えなくしていたのかも理解した。


だがそれであれば、どうして今になって国際連合への加盟をマオー様が勧めておられるのか?」


「はい、その件につきましては................」









「ってやり取りがフィフスの王城で繰り広げられたようで、僕のところに相談が来たんです。」


俺のところに相談したヤルタ君によると、魔族の星となってしまったフィフスに

、マオーさんがお告げを出して、国際連合への加盟を勧めたというのだ。


そして、フィフスから打診を受けたランスがフィフスの宰相と話しをしたところ、その内容にフィフスが動揺しているのだ。


「マオーさん、今のタイミングで、どうして国際連合への加盟を勧めたんだろうな?」


「うーん、恐らく文明発展に限界を感じたからではないでしょうか?」


「限界?」


「えぇ、フィフスでは魔法でほとんどのことが出来ますからね。


逆に言うと魔法以外の動力や技術が育たないんです。


それに今まで交易している星は魔族だけの星ばかりで、新しい情報を得られないのも原因ですね。」


「そうか、確かに魔族は迫害対象になるケースが多いからなぁ。


マオーさんもその辺を考慮してくれてたんだろうな。


でも、それでも国際連合への加盟を勧めたんだから、文明の停滞もだいぶ深刻なんだな。」


「そうですね。確かに優れた魔法文明ではありますが、他の国際連合加盟星と比較すると、やはり進歩が無いと言いますか、このままでは、後進国になってしまうでしょう。


マオー魔族対策特任室長もそう考えておられるようです。」


「なるほどな。マオーさんがそう思われると言うことは、フィフスだけでなく、魔族だけの星の星のほとんどがそうなんだろうね。


何とかしなきゃ。」


俺はマオーさんと連絡をとって、フィフスや魔族のみの星の現状について聞き取りをすることにした。



「マサルさん、久しぶりですね。」


「マオーさんもご無沙汰しております。」


「マサルさんも今では俺と一緒の室長職なんだから、気を遣わなくていいんですよ。」


「まぁ、なかなか慣れないもんです。」


「国際連合の評判よく聞いていますよ。


俺達異世界管理局の職員が何もしなくても、加盟しただけで、文明が何段階にも上がるんですからね。


全くとんでもない組織を創ってしまったわけですなー。


それでね、俺が預かっている魔族のみの星も何とか加盟させてもらえないかなぁって考えているんです。


ただね……………」


「差別のことですよね。


差別というよりは畏怖に近い感情なんだとおもうんですが。」


「畏怖?」


「ええ、ようは怖いんですよ。


魔法を使えますし、自分達よりも力が強いと思っていますから。


決してそんなことは無いんですけどね。


人族にも魔族よりも魔法が上手な人もいますし、獣人族の方が一般的な魔族よりも力は強いと思います。


髪や肌の色なんて関係ありませんよ。


だって見た目なら、獣人族の方が人族と大きく異なっていますよね。


ようはよく知らないことが問題なんです。」



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