第567話【スポーツを楽しもう2】
<<加藤弥生視点>>
斎藤さん達と陸上競技場を作ることになった弥生です。
最初に開発する星はオーストラリア大陸くらいしか陸上の面積が無い小さな星です。
名前は未だありません。
開発出来たら名前を付けて良いよって言われてるので、何にしようか考え中なのです。
最初の星には、1番ニーズの高いマラソンコースを作ることにしました。
砂漠が多いので、オアシスも必須です。
コースは人族用、獣人族用、巨人族用それぞれ10づつくらいあれば良いでしょう。
アスファルト敷が4、土を敷いたダートコースが3、そして砂のままのサンドコースが3の計10です。
足腰を鍛えるのに砂地は良いって言いますし、土の上は柔らかいから、足の負担も少なく、故障後のリハビリにも使えそうですね。
1コースに10ヶ所ほどオアシスを通るようにコースを設計していきます。
適度な勾配とカーブが必要だそうです。
斎藤チーム長の弁ですが。
景観を損なわずオアシスが混雑しないように位置関係を取るのは難しそうです。
オアシスはいくつかのコースで兼用しますから、300ヶ所は必要ありませんが、それでも全部で100近く必要になるみたいです。
オアシスは『道の駅』ならず、『コースの駅』として民間に運用を任せる予定です。
マラソングッズや医療施設、飲食店、無料ドリンク等、ある一定のルールは設けますが、自由度が高い方が、ランナーの皆さんも楽しめるんじゃないでしょうか。
工事に入ってまだ1週間くらいなのに、もう下見に来ている商会がちらほらです。
どうやら無事に入札も終えたので、見学に来たようです。
「加藤様、ご無沙汰しております。
シルベナ商会のアーリストです。
我がシルベナ商会も無事に入札を終えることが叶いましたので、早速『コースの駅』予定地の下見に参らせて頂いた次第です。」
「アーリストさん、よくわたしのことが分かりましたね。」
「ええ、ランス様から若返りの話しは聞いておりましたから。
それにシルベナ商会は国際連合大学創立以来の出入り業者をさせて頂いておりますので、白石様の若き頃のお写真も残っておりますので。」
「そうですよね、お祖父様からのお付き合いになりますものね。」
「ええ、親父が未だ丁稚をしていた頃からですね。
ところで加藤様、転移門を出たすぐの高台から拝見しましたが、随分と立派な施設になりそうですね。
地下を掘っているところがいたる場所にありましたが、あれが全てオアシスでしょうか?」
「そうです。この星だけで100ほどになりますね。
マラソンコースだけで全部で30になりますから、結構な集客になるんじゃないでしょうか。
全ての加盟星から集客があると思うので、ここでは商会のPR活動だと思って下さいね。」
「ええ、入札の際にもランス様に言われておりますよ。
ここでの商売はボランティアだって思うようにとね。
その代わり、他の星にこの星に出店している商会のみが出店できる商店街を用意して、この星から直接転移門を繋げて頂くことになっております。
つまり、購入意思のあるお客様にはすぐに商会の販売店にご案内できるように計らっておりますので。」
「なら、大丈夫そうですね。それでどの辺りに店を出されるのか、もう決まっているのですか?」
「いえ、一通りオアシスの場所が決まってから抽選をするみたいです。
それと、その抽選と同時に件の商店街へ繋がる転移門の場所も決めるそうです。」
「ふー-ん、不正が起きないようにですね。」
「そうですね、ランス様らしい公正な判断です。そしてこの公正さがあるからこそ、我々商人が安心して商売を出来るのですな。
さて、わたくし達も一通り現場を拝見させて頂いてお暇させて頂きます。
加藤様、またお会いできる日を楽しみに致しております。」
「アーリストさん達、行っちゃったわね。でも彼らならこの星を活性化させてくれるに違いないわ。」
「そうですね。弥生さん。我々も立派な競技場を作って、沢山の人達に利用してもらえるようにしなきゃね。」
「はいっ、斎藤さん!」
そして工事開始から1ケ月後、ついに第1期となるこの星の工事が完了しました。
大小合わせたマラソンコースが30、その他陸上競技で使用できる競技場が50、次期オリンピックで正式採用となるレスリングや空手競技が出来る格闘技場が50、そして合宿場としても利用できる宿泊施設が30棟。
これがこの星にある全ての施設となります。
「ファースト・ビレッジもこれで完成ですね。弥生さんもお疲れ様でした。」
「斎藤さんもお疲れ様でした。でもこの星の名前ファースト・ビレッジで本当に良かったのですか?
わたしが勝手につけちゃいましたけど。」
「響きも良いし、我々の1作目なんだから分かり易くっていいと思うよ。
さあ、明日は開所式だからね。しっかりと休養して明日も頑張ろうね。」
「はいっ!頑張りましょう!」
明日の開所式、頑張らなきゃね。
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