第559話【イリヤの休息2】
<<イリヤ視点>>
富士山近くの湖に転移したわたしと弥生ちゃんですが、あまりの素晴らしさに言葉を無くしています。
頂上まで雲ひとつ無い澄み切った青空に、その大きさを誇示するかのように聳える富士山。
そして、足元には空の青さにも負けないくらいの湖面の青。
そしてそこに写っているのは正面に雄々しく聳え立つ山をそのまま映し出した逆富士。
その完璧な美しさに思わず見惚れてしまい、しばらく立ち尽くしてしまったわたし達でした。
次は山深く趣きのある古い町並みがある場所へやって来ました。
弥生ちゃん曰く長野県の妻籠宿と言うところです。
弥生ちゃん達が居た時代よりも、古く更にお父様の時代よりも遥かに古い時代の町並みを残しているそうで、その美しさにアースがどれほど古くから栄えていたのかを改めて思い知らされたのです。
もちろん建物自体は何度も立て直しされているらしいのですが、時代がどれだけ変わろうとも古き良き風景を残そうとするところに、文明の余裕を感じてしまうのはわたしだけでは無いと思います。
次に向かったのは三重県の四日市というところです。
この辺りは昔大きな工場地帯だったということで、日本というお父様や弥生ちゃんが住んでいた国の1番の成長期を支えた地域の1つだそうです。
今は、工場自体が地面の下に埋まっているということで、綺麗な浜辺が広がっている景勝地になっていますね。
そしてついに京都です。
この街のは古都と呼ばれる地で、当時の建物がそのまま残っているものもあるみたいですね。
アースの建築技術の高さには驚くばかりです。
そして多くの戦乱を乗り越えて、古き良きものを残そうとする知性の高さを思い知らされます。
こんなところで生まれ育った人達だからこそ、召喚者として各星で活躍する人が多いのですね。
また、アースからの召喚者は口を揃えて、アースの悪い点を言いますが、これ程の星にして、未だ慢心せずに向上心を持ち続けるのも、やはり知性とモラルを育む教育の賜物なのでしょうね。
さて、わたし達は弥生ちゃんがよく行っていたと言う湯豆腐屋さんに来ました。
あれから数十年の時が流れているはずなのですが、まだお店は営業していました。
豆腐というのは昔お父様が作って下さいましたが、全く別物のような美味しさでしたね。
お父様の作って下さったのもかなり美味しかったのですが、やはり本場のものとは比べるまでもありませんでした。
もちろん店で食べるだけじゃなくて、大量に買って帰りましたよ。
お金はどうしたのかって?
魔法を使えますからね。
その辺りは御察し下さいませ。
イリヤの休息 編 完
―――――――――
いつもお読み頂きありがとうございます。
少し時間的な補足をさせて下さい。
地球の時間はいつもイリヤ達のいる時間軸の約三分の一になります。
弥生ちゃんが召喚されてから、あちらの時間で約100年ですから、地球上では30年くらいが経っている想定です。
ちなみにマサルの召喚からは約400年後です。
西暦で言うと、2400年頃でしょうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます