第527話【対決5】
<<セカンズ王国国王スリグス視点>>
王宮の応接室で3人を迎えた。キャム、パターソン、そして今回の英雄オマル。
3人共癖のある面構えをしている。
キャムは国際連合全権大使として、この星の新しい歩みの難しい舵取りをしてくれている。
パターソンは長年我が王家の筆頭執事としてこの国に大きな貢献をしてくれていたし、交易ギルドでは見事な手腕を見せて他の異世界との交易全般のみならずこの星の商人をうまくコントロールしてくれているようだ。
そしてオマル。キャムと同じ元S級冒険者である彼はパターソンの下で見事にその職務をこなし、パターソンの快進撃を裏方として支えてくれていたと聞いている。
そして今回、ホンジュラ星からの海賊艦隊を壊滅に追い込むという偉業を成し得てくれた。
事前にマサル神様から事情を聴いていたからこそ、安心しておられたが、そうでなければ我が星は壊滅状態、いやホンジュラ星の属国としてしか、その生存の可能性を得られなかっただろう。
既に国際連合からはランス事務総長の勅命でホンジュラ星への制裁が発動されたと聞いている。
まずは一安心というところだ。
しかし、あの空を飛ぶ巨大な船とその攻撃力。とてもじゃないが我が星が対応できる領域ではない。
しかし、これから我々が相手取る異世界にはあのような高度文明を持つ星がいくつもあると聞く。
もし、国際連合に加盟せず、今回のような襲撃を受けていたらどうなっていたか。
考えただけでも身震いが起きてしまうのだ。
さて、緊張の色が浮かぶオマルだが、何か褒美を用意しなくてはな。
「オマル殿、今回はご苦労であったな。」
「ははーー、恐れながら、今回の件につきましてはわたしだけの功績にはございません。
夢枕にマサルと名乗る青年が現れまして、彼がわたしにあのような力を与えてくれたのです。」
「ああ、知っておるぞ。彼はわたしの夢にも出てきたからな。
彼はホンジュラの攻撃を予言しておっただろ。
彼の名はマサル、女神マリス様の上位におられる創造神様だ。」
「な、なんと、マリス様の上位の.....」
「そうだ、今回の件、実は国際連合への加盟時点、いや正確にはその30年前から動いていたのだそうだ。そうだったなキャムよ。」
「はい陛下。まだ幼少であったわたしの元に女神マリス様が現れ、国際連合への参加とわたしの全権大使就任のお告げを聞いておりました。」
「そして、キャムには交易ギルドのアイデアを、皇太后である我が母上にはパターソンを交易ギルドのギルドマスタにすることをそれぞれ夢枕で告げたのはマサル神様であったのだな。」
「ええ、そうです。皇太后様からもそう伺いました。」
「ちなみに冒険者ギルドのギルドマスタには、そちを交易ギルドの警備隊長として推薦するように画策していたようだな。
そして今回のオマル殿へのお告げだ。
オマル殿があの艦隊を撃退してまだ数時間しか経っておらぬのに、既にホンジュラ星には国際連合の査察が入っていると連絡が来ている。
まさに全てを見通した上での神の采配だと思わぬか。」
そうなのだ、まさに神の采配。わたし達、いや全宇宙における全ての異世界はマサル神様の掌で動いているのではないかと思うほどである。
それでいて、そのマサル神の存在には夢枕で見た者以外は全く気付くことは無いのだ。
いっそ、マサル神様を主神にしようか。マリス様の上位神なのだから全く問題ないはずだ。
いや、マサル神様はそれを望むまい。だからこそ表舞台には出て来られないのだろう。
その気があるのなら、こんな回りくどいことをせずとも、ホンジュラの艦隊に天罰を下せばいいだけのことなのだから。
せめてこの王城内にひっそりと本殿を作り、奉らせて頂くことにしよう。
彼のその素朴な風体に合わせて質素ながらも粋を凝らしたものにな。
「そうだ、今回のオマル殿の活躍に褒美をとらせたいと思う。何か希望はないだろうか?」
まあよい、今はオマルの労いに集中しようか。
対決編 完
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対決編終わりました。
タイトルに合わせて戦闘シーンを多くしようかと思っていましたが、相変わらず淡白になってしまいました。
次回以降、新しい展開になりますので、ご期待下さいませ。
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