異世界を創ろう
第487話【マサル異世界を創る1】
<<マサル視点>>
「マサルさん、アイエヌエイチが大変なことになってるみたいよ〜。」
国際連合支援室のお昼休み、いつものように会議机にお弁当を広げてテレビを見てたら、公共放送のアイエヌエイチで起こった不祥事のニュースをやってた。
ひと昔前にブレークした下品極まりなかった芸人が、お仕着せを着てコメンテーターをしている。
「先々週はセクハラでしょ、それで先週はパワハラでー、今日はヤラセ発覚みたいね。
な~んか、視聴料払うのが馬鹿らしくなるわー。」
「まぁまぁマリスさん。
テレビに向かって怒っても。」
「そうなんだけどねー。
でもさ、アイエヌエイチの職員って、わたし達よりも平均給与がかなり高いらしいのよね。
腹立つと思わないっ!」
まぁ、俺が居た時代の日本でも同じようなことはあったしね。
どこも一緒ってことかな。
「あー、マサル君、ここに居たのか。
お昼休み中すまないね。」
俺達国際連合支援室が間借りしている、調査室の奥の扉が開き、異世界管理局長が俺達のところへと、やって来た。
「局長、何か急ぎのご用件でもありましたか?」
「いや、急ぎと言うか、ちょっと私用で頼みたいことがあってね。
食事が終わってからで良いから局長室までふたりで来てくれないか。」
「分かりました。5分くらいで伺います。」
「助かるよ。じゃあ頼んだよ。」
そう言うと局長は奥の扉に消えて行った。
「局長の頼みって何かしら?
あまり良いことじゃ無さそうなんだけど。」
「それは聞いてみないと分かりませんね。
さあ、早く食べてしまいましょう。」
手早く残りの弁当を食べ終わると、俺達は一旦室外へ出て、局長室の扉を叩くのだった。
「はぁ〜、疲れたわ。まさか局長室にアイエヌエイチの会長がいるなんてね。
悪口を聞かれてたんじゃないかってヒヤヒヤしたわよ。」
「そんなことは無いと思いますけどね。
不祥事続きのアイエヌエイチの威信を取り戻すために特別番組を作りたいとか。
だからって異世界を創るって。
それも出来るだけドラマチックにでしたっけ。
アース誕生秘話みたいなやつをドキュメンタリーで撮りたいって無茶言ってたけどね。
しかし、局長とアイエヌエイチの会長が同窓生だったなんて…絶対断れないよな。」
「まさしくヤラセじゃない。
そんな悪事に加担なんて
「じゃあ断りますか?」
そんなこと出来るわけないでしょ。
やるしか無いわ。
要はヤラセにならなきゃ良いのよ。ならなきゃね。」
「で、どうします?」
「そうね、先ずはウチの新人君達を使って星を創らせましょうよ。
それで失敗したら、マサルさんが手を入れて再生させるのよ。
そこで、思わぬ悲劇が…
そうね、定番の巨大隕石かしら。
直撃は免れたけど、ボロボロになった星を、颯爽と現れたわたしが、綺麗に回復するってストーリーはどうかしら?」
「……ベタベタの設定ですけど、マリスさんがそれで良いのであれば良いんじゃないですか。」
「なんか、釈然としないけど、ど定番だから良いんじゃない。」
こうして、よくわからないまま、成り行きで俺達の異世界創りがスタートしたのだ。
<<アルト視点>>
室長に呼び集められた僕達3人は、今会議机に額を突き合わせて、頭を悩ませています。
だって、いきなり何も無いところから、星を創れって。
しかも僕達3人だけでですよ!
まぁ、僕達も国際連合支援室に来てからは、異世界のことをかなり学びましたからね、知識としては自信があるんです。
でも、でもですよ。1から星を創るってなると話しは別です。
しかも、テンプレートを使っちゃいけないって。
失敗するに決まってるじゃないですか。
マリス先輩曰く、「わたし達の若い頃は…」って、全く無茶振りですよね。
まぁ、これまでの仕事の成果を示せって言われたらやるしかないんですけどね。
それで、どんな星にしようかと話していたんですが、アースやラスク星を真似るのじゃ面白くないってことで、いくつかの小さな星を創って、それを一塊で1つの異世界にしようと考えました。
アイデアの元は、アースにある小島で構成された国です。
赤道付近にいくつかあるでしょ。
研修がてら見学に行った際に、上空から見た景色が綺麗だったんですよ。
だから、今回の話しが来た時も、3人の意見が一致したんです。
こうして思いもよらないところから僕達の星創りはスタートしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます