第437話【正体判明6】

<<ゼロス視点>>


時空空間と時空トンネル。


このふたつの技術に無限エネルギーを送り込むことで、わたしはこの世界の支配者になれるのだ。


わたしを迫害した今のこの世界は不要だ。新しい世界を創るのはわたしなのだ。



わたしはカーチス達を使って無限エネルギーの元となる異世界者を集めた。


無限エネルギーは異世界管理局が作り上げた異世界者達の生命エネルギーの一部を集めることで生産される。


そのためには健全な精神状態を維持させる必要があった。


集めた異世界者達を時空空間内に作成した街に送り込みそこで普通の生活をさせる予定であったが、現実はそれほど甘くなかった。


思う以上に異世界者は未熟で野蛮なのだ。


生活環境が変わることで発生する不安からすぐに衰弱死してしまう者が多発し、大勢の者が錯乱状態の中で同種族である他者を殺戮し始める。


とてもじゃないが無限エネルギーを得られるような状態を維持することはできなかった。


そこでモーリスが考え出したのが、時間のループである。


時空トンネルを上手く繋げることで、彼らの楽しい時間だけを繰り返させるのだ。


もちろん彼らはそれに気付くことは無い。


無限に続く楽しい時間の繰り返しが、わたし達に無限エネルギーを齎してくれるのだ。


いくつかの実験場を作り、無限エネルギーを利用した時空トンネルが正常に稼働し始めた。


そして本格的に時空空間内に新世界を創ろうと大量の異世界人を誘拐してきた時に、あの邪魔者が現れたのだ。


「マサルめ!30年にも及ぶわたしの研究成果があと一歩で実現するというところで邪魔をしよって!」


マサルのせいでモーリスも捕らわれ、そしてカーチスもこの世を去ってしまった。


新世界を創造し、その神になろうとするわたしに抵抗するとは、たかだか貧素な異世界人に過ぎないくせに生意気にもほどがある。


だが、既に敵はマサルひとりでは無い。


弱い奴ほど徒党を組みたがるが、今やわたしの敵は異世界管理局や国軍までに及ぶようになってしまった。


わたしは僅かに残ったコーヒーを飲み干し、密かに準備している時空空間へと向かうのだった。





正体判明 編 完


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ここまでお読み頂き有難うございます。


「第14章 そして神になった」 もいよいよ大詰めになってまいりました。


この章は思ったよりも長くなってしまいました。


本章を始めた時は、マサル同様に異世界召喚された様々な人の姿をサブストーリー的に描いて行きたいと思っていました。


しかし少しだらだらとしてしまい、内容にとりとめが無くなってきたことで、大きな伏線に沿うように変更しました。


346話から始まる「修学旅行 編」からですね。


書き手が稚拙なこともあり、ストーリーが見えにくくなってしまった方は、346話くらいから読み返して頂くと分かり易いかと思います。


引き続き、マサル達の活躍をお楽しみいただければと思います。


有難うございました。

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