第405話【プロフェッサーゼロス10】
<<ゼロス視点>>
「くそー、またしてもマサルにまんまとやられたわ!」
しかし、あんな魔道具を準備しておったとは思いもせんかった。
陽動で2ヶ所同時に我が精鋭を送り、実動班を誘き寄せる。
そのまま倒せればよし、そうでなくても、時空空間を設置する為の時間稼ぎが出来ればそれで良かった。
時空空間の先は魔物が無尽蔵にいるダンジョンに接続してある。
我が精鋭の撤退に合わせて魔物を解放。
無尽蔵に涌き出る魔物が蹂躙する無法地となった異世界からは家畜をいくらでも狩れる。
いやそこに無限エネルギーファームを造る事さえ可能となるだろう。
それと同時にマサル達の本拠、いやあの忌まわしい異世界管理局を壊滅させるという完璧なはずの計画が、あんな魔道具で潰されてしまうとはな。
しかし、ジョージ星で使われたあの地面に埋め込まれた爆破の魔道具。
あれのせいで我が精鋭を多く失うことになった。
マサルといい、あの魔道具を使った異世界人といい、異世界人を所詮は家畜と見誤ったわしにも責任が無いわけでもない。
異世界、とりわけアースか、先ずはそこから潰すべきか。
<<マサル視点>>
今回のハリウス星、ジョージ星、そしてここへの波状的な同時攻撃は、1歩間違えば大変なことになっていた。
時空空間を巧みに操る敵のことだから、それを使ってくることが事前に想定出来たから亜空間の魔道具を事前に配布しておいたが、あんな形で使うことになるなんて。
しかもこの指令室まで狙うということは、俺達はもちろん、異世界管理局にも怨みを持つ奴が首謀者だな。
後でジーク室長に調べてもらおう。
3ケ所に開けられた時空空間はあの後全て塞いで回った。
それぞれの亜空間には、無数の魔物が入っていたが、これは貴重な収穫物として、各異世界に配ることにしよう。
亜空間の中は時間が止まっているから、長期保存食としては最適だろう。
そうだな、何種類かは動物に品種改良して、ペットや労働力として使えるようにするのも手だな。
早速、ラスク星の研究者達に相談してみようか。
<<マイク視点>>
今回の襲撃は非常に危なかった。
俺も剣には自信があったのだが、あれ程の手練れが一兵士として存在するなんて。
あちらが早々に撤退してくれなければ、あれだけの手練れ集団に対してこちらも甚大な被害を免れなかったに違いない。
こりゃ個人の力がどうのと言ってる場合じゃない。
もっと装備や体制、戦略を考えなきゃな。
それにしてもあのマサル様から頂いた亜空間の魔道具。
あのピンチにあれ程威力を発揮する物は他に無いだろう。
あの神掛かったような先見性、いや予知能力、発明、想像力、まー何でもいいけど、同じ地球人だとは思えねぇ。
あの人こそ神じゃねえのか?
<<ジーク視点>>
マサル君から襲撃集団に関する調査依頼がきている。
今回、明確に異世界管理局が狙われたということで、局長が政府に働き掛け、この世界に対するテロ活動として扱うことになったそうだ。
既に軍の特殊部隊も動き出している。
軍の方では首謀者をある程度特定しているみたいだが。
まあ、この世界は軍に任せるとして、俺達は異世界を守っていかなきゃいけない。
異世界の連合軍を作るべきか。
しかし異世界にあまり介入するのも問題はある。
我々は異世界を創り、そこから安定した生命エネルギーを供与されることで成り立っている。
それは信仰という形で齎されるのが最も効率が良いのだが、介入をし過ぎると具現化しすぎて信仰対象としての存在感が失われてしまう。
かといって何もしないで放置しておくと、欲望に暴走した文明が異世界の寿命を短くしてしまうことも、これまでの経験上良く理解している。
我々が介入することなく、異世界同士が上手く連合してくれることが一番なのだが。
「ジーク室長。独り言が大きいです。
それにラスク星は既に多くの星と異世界交流していますよ。
マサルさんに相談してみたらどうですか?」
うん?いやこら失礼。考えが詰まってくるとどうも口から出てしまうらしい。
「ユウコ君、口に出ていたかね。」
「はい、誰かとお話しされているみたいでした。ねえジオンさん。」
「そうだな、ジークは昔からこんな感じだ。ところでユウコ君、さっきラスク星の話しをしていたようだが。」
「ええ、マサルさんの息子さん、ランスさんって言うんですけど、この人が他の星と調整して既に10以上の異世界と連合していますよ。
これを利用すれば、異世界同士の連合軍を作れるんじゃないですか。」
「「!!!」」
「なるほど、それはいい考えだ。早速マサル君と一緒に運営課に行って調整しよう。」
こうして、我々の集めた召喚者による防衛対策チームは、異世界連合軍へと変化していく事になったのだ。
プロフェッサーゼロス編 完
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