第381話【ワースドでの攻防1】
<<ミリヤ視点>>
昨夜遅くにマサルさんから「アキラ君が見つかった」って連絡がきた。
翌朝運営課の事務所に行くと運営課の先輩達に囲まれているアキラ君がいた。
召喚時のパジャマ姿そのままの恰好で顔色は良さそう。
昨晩の話しだと、監禁され衰弱していたけどマサルさんの魔法で完全回復したって聞いてたから、そんなに心配してなかったんだけど元気そうな顔を見るとホッとする。
「あらミリヤ。おはよう。アキラ君戻ってきて本当に良かったわね。」
「マリス先輩おはようございます。ええ本当に。マサルさんのおかげです。」
「そうでしょ、そうでしょ、マサルさんのおかげよね。やっぱりわたしの教育の賜物ね。」
「だから、それはマサルさんの元々のポテンシャルであって、あなたの教育は関係ないでしょ。」
シール先輩マリス先輩に容赦ないわね。
「そうよ、マサルさんがすごいだけでマリスは関係ないのよ。」
ポーラ先輩も容赦無し。
「わーーん、シールとポーラが虐めるーーー。ミリヤちゃーん、何とか言ってやってーー。」
「ミリヤちゃん、おはよ。そんな奴ほっといて良いからね。それよりもアキラ君が先ね。」
「はい、ポーラ先輩、シール先輩おはようございます。ちょっとアキラ君から事情を聞かせてもらおうと思います。」
「まだ混乱しているみたいだから注意してあげてね。
死んだと思ったら異世界召喚されて、その途中で誘拐されて...だものね。
そりゃ混乱するわね。」
「はい、マリス先輩わかりました。ゆっくりと時間を掛けようと思います。」
「そうしてあげて。じゃあポーラ、わたしもナタリーさんのところに行ってくるわ。
今、ランス君が側にいてくれているから、ちょっと様子を見てくる。」
そう言うとマリス先輩は部屋を出ていった。
「ポーラ先輩、ナタリーさんって?」
「ああ、聞いた話だとね、アキラ君と同様にラスク星、えーと「マリス様が創ってマサルさんが繁栄させた超優良世界ですよね」そうそう、そのラスク星の住人らしいのよ。
今回アキラ君と同時にマサルさんが救出してマサルさんの息子さんのランス君の所へ預けているみたいなの。」
ええっ、マサルさんの息子!
ってことは...
「ポーラ先輩、マサルさんって結婚してるんですか!」
「ええーー!今更なの。マサルさんはラスク星に奥さんと子供が2人いるわ。
3人共、マリスとゼウスさんとお客様相談室のマオーさんから祝福をもらってて、まだ健在よ。
そうそう、ランス君のお嫁さんってマリスのところにいたセラフなの。」
がーーーん。
ちょっとマサルさん狙ってたのに。残念無念。
「雑談はこのくらいにして、早くアキラ君の所へ行ってあげなよ。」
ごめん、アキラ君忘れてたわけじゃないの、でもちょっとショックが大きかったんだよね。
わたしは気を取り直してアキラ君の元へ向かった。
<<ランス視点>>
お父様から連絡があってナタリーさんの救出を知らされた。
地下の転移魔方陣へ送ったよって言ってたから、地下室へ向かうと、魔方陣の上で一人の女性が呆けていた。
「ナタリーさんですよね?わたしはランスと言います。あなたを救出したマサルの息子です。
体調はいかがですか?」
「.....ええ、だ、大丈夫です。ところでここは?」
「ああそうでした、先に説明が必要ですね。ここはラスク星、つまりあなたの住んでいた星ですね。ここは星都『マサル共和国』でわたしは一応星王をさせてもらっています。」
「星王様!それではあの生き神様と讃えられるランス様でございましょうか?」
「ああ、たぶんそのランスですね。生き神様じゃないですけど。」
「言い伝えでは300年以上もご存命だと伺っておりますが。」
「ええ、そうですね。もうそんなになりますね。」
「ははーーーーっ、なんと恐れ多い、生き神様、ランス様、ははーーーーっ」
ナタリーさん、頭を地面に擦り付けて何やらブツブツと唱えだしたよ。
あーあ、やっぱりこうなっちゃうよね。
「ナタリーさん、さあ顔をあげて下さい。そんなに畏まらなくて大丈夫ですからね。
さあ、部屋を用意してありますのでこちらにどうぞ。って立つのも大変ですね。
じゃあ、ちょっと部屋まで転移しましょうか。転移!」
ナタリーさんの肩に触れて、転移魔法を発動。ナタリーさん用に空けておいた部屋に転移した。
「おおおおおーー、神の御業!!」
部屋に着いたとたん、ナタリーさんブルブル震え出したよ。
ガチャ、
「ランス、ナタリーさんのお加減はいかがかしらね。」
「お母様、ええ、お父様の回復魔法でお元気そうです。」
「そう、見つかって本当に良かったわ。
ナタリーさん、この度は本当に大変でしたね。ご心労お察しします。
大したおもてなしは出来ませんが、こちらの部屋でごゆっくりと静養して下さいね。」
お母様はそういうと、癒しの魔道具を使うと、温かい癒しの光がナタリーさんをやさしく包んでいった。
「ランス様のお母様ということは、神聖女リザベート様。ははーーーーっ」
「お母様、ナタリーさんがますます恐縮しちゃったじゃないですか。」
結構長い時間かけてナタリーさんを宥めすかしたところ、ようやく会話になるようになってきたところへ、
「ごめーーん、ランス君、遅れちゃったあ。」
マリス様が現れた。いつものように後光がさすような派手な演出で。
ナタリーさん、ついに気を失っちゃったよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます