第319話【地球誕生秘話3】
生命が戻って来たアースでゼウスはひとりで虫や小動物を見ていた。
この小さな命がやがて大きく、そして知能を持ち、自身の力で繁栄した文化を持つようになるのはいつのことになるのだろう。
ゼウスは魔法による遺伝子操作を何千年何万年と繰り返し、やがて最初の人類が誕生するのであった。
弱肉強食の世界において、あまりにもお粗末な肉体は本来であれば生存を許されることの無い種族である。
なぜゼウスはこんな頼りない種族のために永き年月を費やしたのだろうか。
「なに、大した理由じゃないさ。
あの時、そう友人のユージスが未來から連れてきたあの人間達に似ていたからさ。
あの人間達を護ることが出来なかった呵責かもね。」
後にプロジェクト○で語られた言葉である。
一から作った星としては初めてと言って良い知的生命体の誕生。
そしてそれから永きにわたり、自らの力のみで文明を築き上げ続けている人間が誕生したのである。
そしてアースの人間をプロトタイプとした生命体が量産され、容易に星を創れるようになった歴史的記念日でもあるのだ。
「はい!カット!!
これで全カット終了でーす。
皆さん、お疲れ様でしたーー。」
「ゼウスさん、お疲れ様でしたー。」
「マリスさんもお疲れ様。
いやあ、ガイヤ役なかなかどうして、上手いもんだったよ。
それとマサル君。わたしの若い頃の役、ありがとうね。
本物のアースの人間がわたしの役をやってくれるなんて、本当に感動しているよ。
ありがとうね。」
「定年のお祝いに元プロジェクト○の担当者にお願いしたら、快く受けて下さって。
でもゼウスさんが喜んで下さって本当に良かった。」
「俺もまさか全能の神ゼウス様にお会い出来て、ましてご本人の前で地球誕生の物語を演じられるなんて、本当感動してます。」
「さあ、次はパーティー会場へ移動しますよ。
ゼウスさんもマサルさんも早く行きましょう。
よーしいっばい飲むぞー。」
「おいおいマリスさん、王様ゲームで隕石を落とすのだけは止めてくれよ。」
「はーーーい。」
地球誕生秘話編 完
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ゼウスさんの定年退職祝いに、マサルとマリスが地球誕生の時を演じたのですね。
書きながらイメージしていたのは、映画蒲田行進曲のラストシーンです。
ちょっと古かったですかね。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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