第120話 【子供達の日常】
<<ランス視点>>
パターソン先生に勉強を習い始めてから、僕達は毎日が楽しくてしようがありません。
皆んな僕達が天才だって褒めてくれるんだけど、僕達ってまだ1歳半でしょ、この家の中しか知らないんだよね。
知識もご本で覚えたことやお父様やお母様に教わったことだけなんだから。
初めてパターソン先生の授業を受けて、自分達が何も知らないことを痛感したんです。
一般常識っていうのが欠けているから、授業の内容がほとんど理解できなかったんです。
僕達の困った顔を見て、先生は気付いてくれたみたいで、ひとつひとつ噛み砕いて丁寧に教えてくださっているお陰でいろんなことを理解して覚えることができるようになったんだ。
たぶん、僕達に解るように説明するために、授業の準備も大変じゃないかと思うのです。
一生懸命に教えてくださるパターソン先生には感謝しています。
これからも、よろしくお願いします、パターソン先生。
<<イリヤ視点>>
パターソン先生の授業は面白いんです。
例えば地理の授業は、地図を見ながら各地の写真を見せてくれるの。
その写真を見ながらいろいろ説明してくれるから、とっても分かりやすいの。
写真は、毎日の授業が終わってから、お父様から写真機を借りて、撮りに行ってくれたみたいです。
お父様ほどじゃないけど、先生も空を飛べるみたい。
写真を見たお母様が驚いていたの。
大陸中を見渡しても、空を飛べる人は他に聞いたことが無いって。
お父様も先生の写真に対抗して、元ハーン帝国の空から見た動画を先生に見せていた。
先生は、その動画に驚いて機材の仕組みを一生懸命に聞いていたよ。
先生もすごいけど、やっぱりお父様の方がすごいんだね。
算数の時間には、掛け算と割り算を習っています。
足し算と引き算はなんとなく生まれてすぐから分かっていたんだけど、掛け算と割り算は、教えてもらって理屈が分かった。
理屈が分かったら、計算はすぐにできたよ。
もちろんお兄ちゃんもね。
すぐに計算ができたので、先生が驚いていたの。
計算式を見ていると、答えが勝手に頭に浮かんでくるの。
掛け算や割り算も計算式と認識したから、答えが見えたんだと思う。
魔法の授業では、魔法適性を調べてもらったの。
結果から言うと全ての魔法適性があるみたい。
もちろんお兄ちゃんもよ。
先生は、あまり驚いていなかった。
魔法適性って遺伝することが多いんだって。
お父様の子供だから、あってもおかしくないかって呟いてた。
魔力は少ないから魔法はまだ使えないって言ってた。
でも訓練をいっぱいしたら、魔力って増えるんだって。
大きくなったら魔法が使えるようになるはずだから、いまからたくさん魔力が増えるようにしっかり訓練しなきゃね。
あっそうそう、最近毎日図書館に行ってるの。
ナーラにあるおっきなところ。
王都の図書館にある薬草の本もだいたい読んじゃったし、お父様に相談したらナーラの屋敷まで、一瞬で行ける魔道具を部屋に置いて下さったのよ。
お父様には本当に感謝ね。
ナーラの屋敷と図書館は、回廊で繋がっているから、すごく楽ちん。
授業が終わったら毎日の日課になっているのよ。
<<ミリヤ視点>>
毎日午前中はパターソン先生の授業です。
パターソン先生の部屋の掃除と洗濯を終えたら少し時間が空くので、わたしも授業を見学させて頂きます。
わたしも、中学校は出ているのですが、はっきり言って難しいです。
お姉ちゃんの子供が2歳ですが、ランス様やイリヤ様とは、根本的に違います。
いえ他の2歳の子供もたくさん知っていますが、お姉ちゃんの子供と似たり寄ったりですね。
あのおふたりが、特出しているのでしょう。
噂で聞きましたが、マリス様の加護だけでなく、他の神様の加護も受けておられるそうです。
そう考えるとあの異常とも言える成長ぶりや学力も頷けるというものです。
でもおふたり共凄く良い子ですよ。
たまに大人と話している気持ちになるくらい、しっかりしてて気遣いもできるのです。
このままスクスクと育って欲しいです。
イリヤ様は、花や草木が大好きです。
大きくなったら薬学を極めたいとおっしゃってます。
毎日授業の後、ナーラのカトウ運輸図書館に行っておられます。
王都からナーラって遠いんじゃ…
なんて聞くのは野暮ですよ。
どうなっているのかわかりませんが、イリヤ様がベッドの横にある魔道具に魔力を込めると、ナーラの国際連合事務局に隣接する旦那様のお屋敷に瞬時に移動できるようです。
最初見た時は、イリヤ様が突然消えたことにパニックになってしまいました。
あんなのがあるなら、先に言っておいて欲しかったです。
本当に旦那様はなんでもありなんですから。
ちなみにわたしも魔力を通してみましたが、なんの反応もありませんでした。
これが使えたら毎日のお買い物も楽なのに…と思わなくはないですが、向こう側でも突然人が現れたら驚きますよね。
うん、使えないですね。
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