第9話 許可を得て女子と喋るぞー

「最近敬子さん以外の女子と喋ってないなー。喋ってもいい許可をください」

「あら海翔かいと、いきなり唐突に堂々と浮気宣言とは度胸が有るわね」

「浮気じゃないよ。男子とばかり喋ってたら人として偏ると思うんだー」

「な、なるほど、そうね、将来の旦那さんが偏った人になるのは困るわね」

「それに」

「それに?」

「敬子さん以外の女子と喋ったほうが、敬子さんの良さをさらに確認出来ると思うんだー」

「そ、その通りね、それは重要ね。私の良さをもっと感じたいわけね。良いわよ許可するわ。そのかわり私の良さを思い知りなさいよ!」


 あっさり許可してくれた。案外ちょろいな。

 さっそく女子と喋るぞー。


「えと、海翔くん、女子と喋って大丈夫なの?交際届に署名捺印したんだよね?許可得てるの?」

「許可取ったよ。でもなんで皆そんなに詳しいの?」

「だって交際届の裏面に心得が書いてあるじゃない。女子と喋るなって項目有ったよね?」

「あったけど署名捺印してから気付いた」

「ええ!?馬鹿じゃ…あ、いや、ごめん。そっかあ海翔くんって内容読まずに署名捺印する系の人なんだ…将来結婚したくないタイプだわ」


 内容見ずに署名捺印ってそんなにダメなのか?


「ダメに決まってるじゃない。トラブルに巻き込まれるかも知れない男なんて。そもそもなんで交際届を提出したの?」

「え?付き合い始めたら提出しないといけないんじゃないの?」

「ええ!?馬鹿…うーん、いや…やっぱり馬鹿ね。より強固な付き合いを望む人は出すかも知れないけど、出さずに普通に付き合う人がほとんどよ、て言うか海翔くん以外はそんなの出さずに普通に付き合ってるよ」


 提出しなくても良かったの!?うまいこと騙された。


「内容も読まないし言いくるめられる人って結婚したくないタイプだわ」


 署名捺印前にもっとしっかり読めば良かった。ああ、もう…


「疲れた」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る