悲嘆のふんぬ
文屋旅人
悲嘆のふんぬ
ああ、私は愚か者だ。
驚くべきなまでに、愚か者である。
私がもう少し利口ならば、否、私がもう少し生真面目ならば、今私が陥っているこの地獄の釜の底のような悲劇などなかっただろう。
ああ、神よ。
何故あなたは私の運命を掌で転がしてもてあそび、悲憤と悲嘆を刻み付けるのだ!
我が肉体は煉獄の焔に焼かれ、我が心は失いそうになる誇りにすがり、我が全ては今まさにこの後悔によって崩れ行こうとしている。
ああ、なぜだ。
どうして私は高らかに凱歌を上げることが許されぬのだ!
私はただ、己の行くべき戦場に向かう滑稽なドン・キホーテでありたかった。
しかし、神よ!
あなたはそんな愚かな私の運命を、その気まぐれの息吹で破滅させようとするのだ!
怨もう。
神よ、貴方の無常を!
怨もう。
我が愚かさを!
ああ、無理だ。
もう無理だ!
地獄の業火は我が肉体を焼き、今まさに悪魔たちが門をこじ開けて退去しようとしている。
ああ、もう、能わず……
『本日のニュースです。本日、山手線内で脱糞をした男性が逮捕されました。男性は、「強く後悔している。出社前にトイレに行っておくべきだった」と証言。現場は騒然となっております』
結論:出社前にトイレに行きましょう
了
悲嘆のふんぬ 文屋旅人 @Tabito-Funnya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます