追加建艦計画


 艦隊はマハラバード軍港に浮かんでいました。

 戦艦二隻、巡洋戦艦二隻、中型艦隊航空母艦二隻を主力として、

 二個水雷戦隊、二個防空直衛戦隊、一個潜水戦隊


 合計四十三隻、基準排水量で三十二万六千トンの艦隊です。


「ヴィーナス様がおつくりになられたのですが、補助艦艇が足りないとおっしゃり、いまマハラバード工廠で建造中です」

「ミーナ准将の要望も、取り入れることになっています」


「補助艦艇は、どのようなものが計画されているのですか?」

「潜水母艦、給糧艦、運送艦、病院艦、各一隻を建造中、もうすぐ竣工の予定、特務艦艇ですよ」


「その他、給油艦、工作艦など必要かと思いますが?」

「緊急建艦計画を立ててほしいの、情勢はあまりよくないのよ」


「とにかく軍幹部を任命しなくてはなりません、人事はお任せ願えますか?」

「丸呑みしてあげますよ、ただ婦人戦闘団の最高指揮権は執政官府がある限り執政官にあるのよ、執政官直属の軍事兵力は動かせませんからね」


 ミーナ准将、十日であらかたの計画をたて、報告書にまとめ提出しました。

 軍政部長、軍令部長、教育部長などの主要幹部の人選、緊急建艦計画、など膨大な量です。


「人事は約束どおり、必要な追加艦艇はこれだけですか?」

「執政官府領の諸島航路の防衛警備艦隊とマハラバード鎮守府警備戦隊、さらに新設要望のチャルーサダ警備府の警備戦隊、及び揚陸艦隊です」


「主な大型艦は軽空母二隻ですか……給油艦と工作艦……潜水艦ね……艦隊用ですか……練習艦は必要でしょうね……」


「あと航空隊も二隊ほど……揚陸部隊の創設も……」

 

 スジャータさん、ちょっと笑ったようですね。

「それにしても過大な要求ですね、チャルーサダに小さい軍港を作り警備府を設置、一万トンクラスの建造ドッグを一つ、船台を二つ、このチャルーサダのドッグで工作艦、船台二つで潜水艦を連続建造ね……」


「マハラバードにも船台を二つ、掃海艦艇と警備艦艇を連続建造、大型ドッグで軽空母二隻を同時に建造し、給油艦は中型ドック、練習艦二隻は小型ドッグ、ヴィーナス様がおられれば、すぐにでもできるでしょうけど、ある程度時間がかかるでしょうね……」


「でも一年で何とかしなければね……まぁ分かったわ、とにかく追加艦艇以外の件は了承しました、ミーナ准将はこの計画通りに始めてください」


 スジャータさん、ゼノビアさんと相談した結果、ヒルコさんが腕試しで行うことになったのです。

 なんといってもエールさん並の能力の持ち主、ヴィーナスさんほどではありませんでしたが、三月で完了したのです。


 ついでといては変ですが、ヒルコさん、執政官府直属の小さい艦隊も作っていきました。

 指揮通信巡洋艦『によど』と警備の小型巡洋艦、『てんりゅう』と『たつた』です。


 勿論オリジナルを大改装しています、さらに一等輸送艦なんてのも作っていました。

 ヒルコさん、輸送部隊も必要と判断したようです。


 その間に、商船キブツなどから人員を供出させた婦人海上戦闘団、水上艦艇乗組員を養成しているようです。

 この艦艇群はメインエンジンは電気、太陽光発電衛星から直接受電できます。


 補助動力としてトウモロコシ製バイオ燃料で動くエンジンと、水素動力エンジンがあります。

 太陽光発電衛星を利用して、惑星全土が監視できる装置も共通して設置してあります。


 思ったよりも実践配備は早く、その結果、四月後にはスジャータさんを迎えて、観艦式を行うことができたのです。

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