1年M組 ~無法地帯の恋愛事情~

あんかけ(あとち)

1年M組

「……何ですか、あのクラスは!?」

「そっか、あなたは知らないんでしたっけ……この学校の狂ったクラス」


 二人の教師が廊下を歩きながら会話をしている。

 ここはとある学校。教師のうちの一人は入ってきたばかりの新米だ。彼はもちろん、ここを〝普通の学校〟だと思ってこの学校に入ったのだろう。当然のことだ。


 確かにここは普通の学校だ。……一つのクラスを除けば。


「M組のMは〝mad〟のM!」


 ……そう高々に宣言するのはM組の担任。廊下からでも聞こえる大きな声。その声に二人の教師の会話と足が止まった。そして、視線がすぐ横にある〝1年M組〟に注がれる。

 もちろんクラスがMまであるというわけではない。1年M組のMはmad……つまり気が狂ったMのことだ。


 校長すらも手を出すことを諦めた無法地帯。それを取り仕切るのは一人の男性教師だ。


「ふふ……みんな自由でいいなー!僕も自然と元気になってくるようんうん!」


 短く、それでも誰もが振り向いて確かめるような綺麗なホワイトヘアー。無邪気で男性とは思えない柔らかい声。でも、どこか人間とはかけ離れたような異質な雰囲気も兼ね揃えている。

 彼はこの現状を楽しんでいるようにも見える。あまり着たことのないスーツを着て、今日も教師を務めていた……。


「……マイケル先生……でしたっけ。」

「バリバリ自然な日本語話してるのに何でそんな名前なんでしょうね……?」


 ──これは脳みそを空っぽにして読むべきである、狂ったクラスの恋愛とその傍観者である担任の御噺。

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