333.神経を抜く。そして通帳とカードを落とす。

 いやぁ……酷い目に遭った。


 昨日、土曜日処置した歯が痛いって書いたじゃないですか。あれ書いた後、またもの凄い勢いで痛くなってきまして、悶絶して寝てたんですが。


「もうダメだ。この痛み、死ぬ」


 と覚醒しまして、父が通っていた駅前の年中無休の歯医者の情報をスマホで調べました。『急患対応可』と素晴らしい文言がありましたので、昼休みの時間帯でしたがなりふり構わず電話してみました。すると、受付の人が出てくれました。


 土曜日に他院で処置した歯がもの凄く痛くて死にそうな旨を、必死の形相で説明しました。半分泣いていたと思います。そうしましたら、予約の合間に診るので、十六時にとりあえず来てくださいと言われました。


 その歯医者があるのは駅前のビルの十一階です。無雲は痛みに耐えきれず十五時二十分には歯医者に到着していました。


 半死みたいな状態で問診票を書き、一時間ほど待ったでしょうか。やっと呼ばれました。


 感じの良さげな男の歯科医師が登場しました。


「(あぁ、ここは歯科衛生士じゃなくて医師がちゃんと診てくれるんだ)」


 と、当たり前の事に感動しつつ、色々と事の成り行きを説明して診察開始。


 ここは、まず機械も使って歯の全体を診ていました。土曜日のてきとーな歯医者と歯科衛生士とは雲泥の差です。


 そして、「ちょっとレントゲン撮りましょうか」という事になりレントゲン。


 今時レントゲンはデジタルデータなので、撮るとすぐに先生が診断できます。


 歯の状態と、レントゲンを見て先生はこう言いました。


「土曜日にした処置は、間違った事はしていないのですが、神経に触れてしまってそれで神経が死んでしまったようです。その部位の歯茎もとても腫れています。だからとても痛かったんです。今日は神経を抜く処置をします」


 医者は、医者の悪口を言わない。これ基本。他の医者の悪口を言いまくる医者なんて、この世でM先生くらいのものです。


 医者は、医者をかばう。そしてフォローする。


 しかし、無雲は許さない。


「(あ、あのヤブ医者とクソ歯科衛生士め! 神経死んでまったやないかい!!)」


 もうここからはまな板の上の鯉です。


 とりあえず麻酔。


「痛みが強いので麻酔が掛かりづらいかもしれません。まだ痛いですか?」

「痛いです!!!」


 麻酔追加。


 そうして、麻酔で完全防備出来た所から、『キュイ――――ン』という音と共に歯が何かされていく。もうこうなったらどうにでもなれ。


 気が付けば、二本の歯の神経は抜かれ、そこに薬が詰められました。めっちゃ麻酔を掛けられたので、お口はもごもご状態です。


「次の治療には、必ず一週間後来てください。その後入院があっても、それを挟んできちんと通院して下さいね」

「ふぁ、ふぁい」


 無雲は麻酔で痛くなくなった歯に安堵し、とりあえず帰路。二時間モノを食べてはいけません。右側からストローで水分を取るのは可能って言われてたんですが、麻酔は結局寝る直前まで切れる事は無く、ご飯を食べるのも精いっぱいでした。


 そして今日の朝目覚めると……歯が痛くない。


 昨日の先生は、神経を抜いたから痛む事もあるからそうしたら痛み止め飲んでねって言ってたんですが、痛くない。

 

 空は青空。気分が良いぞ。


 てなわけで、おいたんが出掛けた後、道の駅が開くタイミングで母と散歩に行きました。


 ゆうちょATM→道の駅→遊水地緑地→銀行ATM→コンビニ


 このルートで歩いたんです。入院費用をA病院にATMがある銀行に移したり、来月の生活費を下ろしたりしたから、通帳とカードもバッグに無造作に入れてあったんです。


 道の駅で等級『ひょう』の梨が安く買えたりしたから、ルンルンしてました。コンビニではおいたんのタバコを買ったんです。


 そうして帰宅してお金を整理してましたら……無い。銀行の通帳とカードが無い。


 どこを探しても無い。


 ルンルン一転。顔面蒼白です。


 とりあえずマッハで銀行ATMに行きました。そこには無かった。なので、斜め前にある交番に落とし物として行ってないか聞きに行きました。しかしそこにも無かった。


 またATMに戻って、「通帳とか失くしたらここに電話してね」っていうダイヤルに電話。落とし物としての連絡は無いそうで、とりあえず口座のロックをしました。一週間後くらいに通知が封書で来るから、それを持って窓口へとの事でした。もしもその間に通帳とカードが見つかっても、通知が来て窓口で解除手続きをするまで口座はロックされていると説明されました。


 しょぼーんとする無雲。


 で、自転車にまたがって、コンビニの前で、ふと思いついてここに寄ってみた。


「すいません。つかぬ事をお聞きしますが、通帳とカードの落し物はありませんでしたか?」


 レジの定員さんは明るい声でこう答えました。


「あぁぁっ!!! ありますあります!!!」


 あったぁぁぁ!!!!!!!!!


 店員さんは、仕舞った所を忘れたらしく、ゴソゴソと探して、他の店員さんに聞いたらすぐに出て来ました。名前を聞かれたので答えると、戻ってきました通帳とカードが!!


「なんか~、レシート捨てる所に落ちてたっす☆」

「す、すいません。ありがとうございますぅぅぅ!!!!!」


 というわけで、通帳とカードは無事に私の元に戻ってきました。が、三分前に口座をロックしてしまいましたので、通知が来るまでどうにもこうにも出来ませぬ。


 前、家の鍵を落とした時もコンビニにあったんだよなぁ。数年に一回はでかい落とし物するんだよなぁぁぁ。


 おいたんに銀行から連絡が行くかもしれないので、とりあえずおいたんにも事情をLINEしておいたら、おいたんの昼休みに「見つかって良かった!」と一言メッセージがありました。おいたんって、本当に優しいよね。ごめんなさい、こんな間抜けな妻で……。


 安堵した私は、お昼ご飯の母チャーハンを食べた後爆睡。そうして掃除して、やっと落ち着いてこれを書いている次第です。


 嗚呼、一難去ってまた一難。


 何なんだろう、この状態。


 今年大殺界か何かなのか? 平和な日々よ、早く来~い!!


 あ、土曜日行った歯医者には予約の取り消しの電話をして、診察券を粉々に切り捨てておさらばしときました♬

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